それは人魚の恋に似ていた。
それは人魚の恋に似ていた。
海を渡り、次の船の出る町まで急いだが、次の船は明日。この町で一泊しなくてはならなくなった。
何も無さそうな漁師町。こんなところで足止めされてもなにもすることがない。
早々に予約したホテルへ行って休もうと思った。
そんな時、声を掛けてくれた青年。私より大分若く見える。
焼けた肌と白い歯、笑ってしまうくらい太い眉が印象的。
彼は漁師でこの観光の時期だけガイドをしているという。
遺跡、マーケット、地元の人しか知らない食堂、そして夕日が海へと落ちる丘。
拙い英語ととびきりの笑顔で色んな所へ案内してくれた。
彼が、この町を愛してるということが伝わってきた。
私も多分とびきりの笑顔で応えた。
そして彼は恥ずかしそうに言った。
「僕の家に泊まりませんか?」
私は少し迷って、予約していたホテルをキャンセルした。
胸の鼓動が速いまま、彼の家に向かった。
待っていたのは彼の家族。
期待していた自分に恥ずかしさでどうにかなりそうだったが、彼の家族は賑やかに、そして笑顔で迎えてくれた。
兄弟が多くて、夕飯は戦争みたい。一番年上の彼はそれを笑顔で見守っている。
そんな彼の横顔は私なんかよりずっと大人に見えた。
夜、眠れなくて外に出た私は、彼の家の庭に出た。
満天の星空。
ずっと見上げていても飽きない。
ここには色んな物がないけど、色んな物があった。
気がつくと彼も私の隣で星空を眺めていた。
そして、私を見て白い歯を覗かせ、笑った。
次の日の朝、家族に別れを告げ、彼に港まで送ってもらう。
もうすぐ港についてしまう。彼はいつもこうして出逢いと別れを繰り返しているのかな。
そして彼との別れの時がきた。
私はお礼を言って、彼も笑顔で別れを告げた。
少しだけ迷って振り返り、船へと向かう。
その時、腕が取られる。強引に振り向かされ、抱き締められる。
私はびっくりして硬直したまま。
どのくらい経ったのか、彼は私を離して赤い顔で、言った。
「また戻ってきて」
私は、また少し迷って、頷いた。
もう戻って来ないのに、頷いてしまった。
船から見送る彼が見えた。大きく手を振るかれの笑顔が眩しかった。
文字数とか、書き出し、終わりのが決まっているので文章を書く練習になりました。
もっと人魚を強調せねばいけませんでしたね。あと文字数ガバガバ……。