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実母と姑

認知症の親を看るといっても関係が"実"か"義理"かでは、かなり違ったもの

になってくると思う。

 

 『何を贅沢な‼ 赤の他人の姑より血の繋がった実母の世話の方が楽に

  決まってるじゃないか!』


全国のお嫁さんたちから怒りの声が上がるかもしれない。

確かに嫁姑の確執があったり若い時にイビられたようなトメさんのお尻りを

拭かされるなんて… やっぱり御免被りたいw

けれど、同居している自分の母親が元気なうちはよいが、認知症を発症した

となると、それはそれでまた別の悩みが生じてくる。


以前お話ししたように、うちの夫は何事にも協力的で母に対しても私より

ずっと忍耐強く優しく接してくれる。"磯野家のマスオさん" のごとく、

同居後も母と良好な関係を保つ良き婿、サザエさんにとっても文句のつけ

ようのない夫である。

がしかし、そのことでかえって私の方がある種の負い目、うしろめたさ

みたいなものを感じてしまうこともある。


私的なホームパーティーだけでなく、仕事絡みの集まりでも夫婦揃って出席

するのが当たり前のこちらの社会で、欠席したり、夫一人で送り出す時は

ついつい『悪いなあ』と思ってしまう。これが実母でなく義母ならこんな

感情を抱くことはないだろうな、と。


それに、長年連れ添い枯れた夫婦と言えども、"夫婦の時間" は必要だ。

母がこうなってから娘たちが帰省した際に二人で外食に出かけるくらいで、

時間を気にせずゆっくり買い物をしたり、終末に小旅行をするようなこと

はなくなった。せいぜい母の昼寝中に近くの店で慌ただしく用を済ませ、

帰りにドライブスルーの珈琲を楽しむくらいが関の山。


『私は留守番してるから二人でゆっくりしてくるといいわ』


そう言ってくれる母はもういない。

若い頃子供たちをベビーシッターにまかせ外出したようにヘルパーさんに

お願いすることもできるが、なにせ日本語の出来る人が周りにいない。

言葉の問題もあり母が不安がるので今のところデイケアも利用したことが

ない。無理強いすると後がもっと大変になるなんて話を聞くと、どうして

も躊躇ってしまう。



知人の中に私より少し若いアメリカ人の夫を持つ日本人妻がいる。

同居ではないが車で5分位の所で一人暮らしをする夫の母親が認知症に

なった。元々結婚に猛反対され、彼女曰く『相当いじめられた』そうで

険悪な仲なこともあって、食事は作るがその他の介護は一切しないと

宣言。二人の関係を熟知している一人息子の夫は、夜中にトイレの介助

が必要な母親のために、夜な夜な晩ご飯を運びそのままベッドの横で

就寝、翌朝ヘルパーさんと交代する生活を続けている。

そんな彼女、時々電話をかけてきては『やっと子育てが終わり子供が

自立して、これからゆっくり二人の時間を楽しめると思っていたのに、

日本へも一緒に帰りたいのに、あの憎っくきトメのおかげで…

ったく、不倫されても文句言えないよねぇ… 』

不平不満を延々と話し続ける・・・


(おいおい、愚痴る相手を間違えてないかい!?)


思わずツッコミを入れたくなる気持ちを抑えつつ、もしかしたら、

うちのマスオさんもどこかのノリスケさん相手にこんな風に愚痴って

いるのでは… と、邪推する私がいるw


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