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Back Story 1 --- なぞなぞろびーの秘密 ---



 ハルねえさまは言いました。


「良いか、フユ。人間を簡単に信じてはならぬぞ。」

「どうして? ハルねえさま。」


 ハルねえさまは、わたしの頭を撫でながら、言いました。

 今日のハルねえさまは、とっても優しいお顔です。


「人間の中には、嘘吐きも混じっておるからじゃ。」

「うそつき? 人間は悪いの?」

「皆が皆とは言わんが、嘘吐きは悪いの。だから、人間と接する時には、嘘を見抜けなければならぬぞ。」


 ハルねえさまが言うなら、そうなのでしょう。

 魔女は嘘をつきません。

 ハルねえさまも、ナツねえさまも、アキねえさまも、みんな嘘をつきません。

 でも、人間は嘘をつきます。やっぱり、人間は、悪いいきものです。


「じゃあ、人間なんて、フユは、別にいらないです。」

「そうはいかぬぞ。フユ、お前も一人でも、アキのように、お外で遊びたいのじゃろう?」

「……はい。」

「その為には、悪い人間に騙されないようにせにゃならん。じゃなきゃ、わしは、ずっと、フユが一人でお外に出るのを許さんからの。」


 ハルねえさまは、いくらお願いしても、お外に出る『しょうにん』を出してくれません。


「どうしたら、嘘がわかるようになるの?」

「そうじゃな。嘘というものは、重ねれば重なるほどに、綻ぶものじゃ。話して、話して、話していれば、分かってくる。まぁ、慣れは必要かの。……うーむ。そうじゃな。」


 ハルねえさまが何かを考えています。


「……よし。じゃあ、今度、フユの場所に、訓練用のお部屋を作ってやろう。」

「くんれん?」

「そうじゃ。嘘吐き当てクイズ、ってところかの。ゲームじゃ。」


 クイズとゲームは大好きです。

 でも、ハルねえさまのクイズとゲームは嫌いです。

 だって、ハルねえさまのクイズとゲームは、いじわるだからです。

 やっぱり、ハルねえさまは、いじわるに笑いました。


「もちろん、嘘吐きに騙される事がどれだけ危ない事かは覚えないといけないからの。間違えたら、お仕置きじゃ。」


 おしおきされるなら、絶対にやりません。

 でも、ハルねえさまは、絶対に許してくれません。


「そうじゃな……フユの場所の出入り口に作るかの。そうすれば、訓練をサボる事もできまいて。」

「やだ。」

「ほっほ。遠慮するな。ちゃあんと正解できるようになれば、わしもお外に出る『承認』を出してやるからの。」


 お外には出たいけれど、お仕置きは嫌です。

 でも、ハルねえさまは聞いてくれる筈がありません。

 もう、どんなクイズを作るかを考えて、そわそわしています。 


「ふむふむ、そうじゃな。人の話を良く聞く訓練もした方が良いな。よいか、フユ。人の話を聞くときは、メモを取るのがおすすめじゃ。割と、話というのは、続くと覚えていられないものじゃからな。書き留めていき、目で分かるように残せば、嘘も見つけやすいしの。字の訓練にもなるな。よしよし、固まってきたぞ。よっしゃ、フユよ。一日だけ待っとくれ。すぐに、部屋をこさえるからの。」


 きっと、もう、やめて、と言ってもやめてくれません。

 ハルねえさまはいじわるです。

 アキねえさまに言って、やめてもらうようにお願いしても、明日できてしまうなら、きっと間に合いません。


 次の日、わたしの場所の中に、新しいお部屋ができていました。

 『なぞなぞろびー』。

 今でもたまに、お外に出るのに失敗します。

 そして、ハルねえさまに、おしおきされます。

 ハルねえさまは、とっても楽しそうでした。


 ハルねえさまはいじわるです。




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