episode-4 ~天界~
―――天界
ここは、そういう表現が正しいのだろうか。
死者の魂が集い、天使が存在し、神が存在する。
魂といっても、姿かたちは普通の人間と変わらない。
ちょっと透けているが。
そして、天使といっても、容姿はただの少年や少女だ。
羽は生えているが。
神は、一人の女の子。
神らしく着飾っている。
ちなみに、人間の魂もテレパシーのようなもので言葉を伝えることが出来る。
そんな中、俺はそんな神様の横にいる天使だ。
神様の世話をしている。
「天使君」
神に呼ばれた。
多分、距離を考えると今の声が聞こえたのは俺だけなので俺が返事をする。
「なんですか?」
「君はずっと私のお世話してくれてるのに、他の天使君達と同じ呼び方で呼ぶのはやめたほうがいいかな? っと思って。」
神はそういうと、よく整った顔にどこか悲しみを感じさせる笑みを浮かべた。
俺は、神様が何を言いたいのかよく分からなかったので聞いてみることにした。
「つまり、どういうことですか...?」
「だから、君の名前を決めようかな...って。嫌かな?」
ここで俺はようやく理解した。
俺はここまでストレートに言われなければ分からないほど鈍感だったのか?
などと考えながら、俺は特に断る理由もないので神に名前を授かることにした。
「嫌などありえません。むしろ、嬉しい限りです。」
俺がそういうと、神は大人びた容姿からは想像できない幼い、無邪気な笑いを見せ、
「よかった! 実はね、いっぱい名前考えたんだよ? 君はかっこいいからぁ、リックとかマイルとかマミモとかナナとか... どれがいい?」
と、目を輝かせていた。
俺はそんな神様の様子に内心微笑みながら、冷静に感想を述べた。
「後半の名前ってかっこいいですか...? 俺のイメージでは少し違うような...」
「いいからっ! どれがいいの?」
正直、神様...いや、目の前の少女の可愛さのせいで名前など、どうでもよくなっているのだがそんなことを言うと怒られるだけだろう。
だから、俺は一番しっくりきた名前にしてもらうことにした。
「リックでお願いします。」
「じゃあ今から君はリックねっ! これからもよろしくっ」
このときの神は、心の底から笑ってくれていた。
この笑顔は、俺の記憶の中に存在し続ける
あの時の表情をかき消してくれる気がした――――