2/5
第2話 食事
プロローグ
蒼一は、昼食をとった。
それは特別な料理ではなかったが、彼にとっては意味のある一皿だった。
誰と食べたか、どんな気持ちで食べたか――それが、すべてを変えていた。
---
タイプA
「海晶ステーキ、特盛で」
学園食堂のカウンターに声をかけると、厨房がざわついた。
追放されたはずの蒼一が、堂々と戻ってきたのだ。
ステーキは分厚く、ナイフを入れると肉汁があふれた。
「うまい。これが、勝者の味か」
周囲の視線を無視して、蒼一は黙々と食べ続けた。
その背中に、誰も声をかけられなかった。
---
タイプB
鉄皿の上で、肉汁がじゅうと鳴いた。
蒼一は、ナイフを入れる前に一度だけ目を閉じた。
「潮焼き定食、久しぶりだね」
千歳がそう言った。
蒼一はうなずいた。
ステーキは、少し冷めていた。
でも、味はちゃんと残っていた。
それだけで、十分だった。




