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音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 藍色黄色


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第97話 美味しいよ?



「そのドレスどうしたんだ? 俺そんなの作ってないよな」

「これはフトシさんからいただいたドレスをカジさんに改良してもらった物です」

「素材は自分で集めたのか?」

「はい。フトシさんが妖精界を出た後に大きな蝶と遭遇したんです。グレースバタフライというのですが、とても珍しい種なんですよ」

「そうなのか」


 知らない虫だ。妖精界のレアエネミーだろうか。


 珍しいエネミーの素材を使った防具なら性能もいいはずだ。


 俺はコンソールを開いて周囲のキャラクター欄からアメリアの防具を確認する。



レア度5

『グレースドレス』

防御力 +23

アビリティ【女王の威光】 



 女王の威光。


 バタフライドレスの『蝶の舞』にあった魔法耐性上昇効果はそのままに、バフを受けている間はスキルやアビリティのリキャストを短縮する効果が追加されている。


 エーテライトの儀礼剣と相性がいいアビリティだ。やっぱアメリアに渡して正解だったな。


「あの、似合ってませんか?」


 視界内でアメリアが身をよじらせる。


 アメリアからは俺のコンソールが見えない。意図せず凝視する形になっていた。


「そんなことないぞ。すごく似合ってる」

「それはよかったです。フトシさんは村を見て回りましたか? フトシさんがいない間もシルネ村は発展を続けていたんですよ」

「そうみたいだな、建物かなり増えてたし。全部妖精が住んでるのか?」

「はい。一軒に複数住んでいます。こう見えて本来のサイズは小さいですから」


 妖精ジョークってやつか。


 今のアメリアはスプリガンの術で人間大だが、魔法を解けば俺の頭部並みに小さくなる。


 あのサイズなら妖精が十匹集まっても寝る場所には困らない。観葉植物の枝にとまることを考えればもっと多い。村の拡張が中途半端でも住み家には困らない。


「その点ここは広いよな。さすがにトップの拠点なだけはあるか」

「ただ広いだけじゃないですよ。こっちに来てください」


 アメリアが樹木の裏に回る。


 俺も裏に回るとアメリアが樹皮を握った。軽く上に持ち上げてから下におろす。


 石造りの階段が顔を出した。


「おお、隠し通路みたいだな」

「隠し通路ですよ。この先はノームの住み家につながってます。互いに何かあった時はこの通路を介して行き来できるようにしたんです」


 この建物は城みたいで目立つ。他の妖精が避難する時には目立つから迷わないし、侵略者は建物よりも迎撃する妖精に意識を割く。非戦闘員の離脱は速やかに成るだろう。


 色々考えられてるなぁ。 


「通路歩いてみていいか?」

「もちろんです」


 俺は階段を使って地下空間に足を踏み入れる。


 薄暗いけど通路の輪郭は分かる。魔力だろうか、宙を漂う光が蛍のように暗がりを照らしている。


「この通路はノームたちが掘ったのか?」

「はい。彼らの掘削技術はすごいですよね、まさか村と村をつなげちゃうなんて。幅と高さもあるので物資の交換もできるんですよ」


 うわさをすれば何とやらだ。前方から音が迫ってくる。


 荷車が見えた。木製のそれに鉱石が積んである。


 荷車を押しているのは知り合いだった。


「あ、フトシーっ!」


 ノームの長が大きく腕を振る。


 例のごとくスプリガンの術で人間大になっている。この前と大分印象が変わるから不思議だ。


 ミャンセの隣にはゼロツーの姿もあった。


「久しぶりだなミャンセ。ゼロツーはどうしてここにいるんだ?」

「荷物運びを手伝っているであります」

「何に使うんだ?」

「鍛冶だよ。わたしが使うの」

「ミャンセが鍛冶?」

「うんっ。カジに弟子入りしてるの」


 そういえば以前カジさんの作業を興味深そうに見てたっけ。


「ミャンセが鍛冶をするとはなぁ。どんな調子なんだ?」

「もっと本気で打てって言われるよ。わたし本気で打ってるのにー」


 白いほおが小さくふくらむ。


 ミャンセはノームだ。アメリアはノームの掘削技術をほめていたし腕力はあるはずだ。きっと技術的な意味に違いない。


「フトシはどうしてこんな所にいるのー?」

「通路を見に来たんだ。立派なもん掘ったな」

「でしょー。ノームの掘削技術は世界一なの」

 

 ミャンセが得意げに胸を張る。人間大だから余計に堂々として映る。


 これだけの自信があるなら、襲撃者にこの通路がばれてもアドリブで新しい通路を作れそうだ。

 

「そうだ忘れてた。アメリア、ダークエルフは今どうなってるんだ?」

「会話はしてくれるようになりましたが、まだ情報を引き出すことはできていません。すみません力がおよばず」

「いや、むしろよかった」

「よかったんですか?」


 アメリアが目をぱちくりさせる。


 しまった。本音がつい。


「いやよくなかった! そうだな、ちゃんと情報を聞き出さないとな。ダークエルフはこの前と同じ場所にいるのか?」

「はい。まだ牢屋の中にいます」

「俺が許可するまで誰も近づかないように図らってくれないか」

「それは構いませんけれど、何か策でも?」

「ああ、俺に任せてくれ。ついでだし鉱石の運び出し手伝うよ」

「やったー! ありがとフトシ!」


 はしゃぐミャンセたちと元来た道をたどる。






 俺たちは鍛冶工場に鉱石を届けた。きら丸とラムネを置いて俺一人外出する。


 たどり着いたのは留置場。入り口からのぞき込むと、相変わらず薄暗い空間に縛られた人影がある。


「よし」


 いよいよ試す時が来た。わくわくするぜ。


 俺はコンソールを展開してニワトリのかぶり物を実体化させた。


 へ~~んしん!


 かぶって怪人コケッコーの完成だ。ニュールネトリオングも実体化させて足を前に出す。


 さあどうなるか。


「ん、何だ貴様は」

「妖精ではないな。我らの同胞か?」


 しゃべらない方がいいか。


 とりあえずサムズアップ。アメリアから受け取った鍵を使って鉄格子を開ける。


「よし、まずは我らの拘束を解いてくれ」


 本当に俺のことを仲間だと思ってるのか。


 ダークエルフを騙せていることもそうだが、ニワトリ頭の怪人がいることにびっくりだ。


 俺は缶詰をダークエルフたちの前に出す。


「ん、何だそれは。食べ物か?」

「腹は空いていない。それよりも先に拘束を解いてくれ」


 解くわけないだろ。


 さあ最終確認だ。


 鼻栓よし、缶詰よし。


 逃げ場よし。


 行くぞダークエルフ。缶詰オープンだ。


 俺はニュールネトリオングのふたを開ける。


 視界内に点在する顔が目を見開いた。


「おわああああアアアアアアアアアアアアアッ!?」

「く、臭いッ⁉ 何だこれはァッ!」


 ダークエルフたちがもだえるものの、擦れた拘束具が金属音を鳴らすのみだ。


 俺は三又の食器で缶詰内の切り身を刺す。


 ねっとりしたそれを最寄りのダークエルフに近づける。


「ま、待て、それをどうするつもりだ!?」

「さては貴様っ、失敗した私たちを消しに来たのだな!」


 勝手に誤解しておっかないこと言わないでほしい。


 まあいいや。


 美味しいよ?


「よせ、やめろぉっ!」


 はい、あーん。


 切り身を無理やり食わせた。涙目のダークエルフがより一層暴れる。


 怯える他の個体にももれなく食わせた。


 絶叫が牢屋を騒がせたのも数秒。薄暗い空間がしーんとした。


「そろそろか」


 俺は見通し双眼鏡でダークエルフたちの状態を確認する。


 知能低下よし。俺は用意してきた質問を投げかける。

 

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