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音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 藍色黄色


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第91話 フトシ悪い奴


 俺は料理を作り直してもう一度ジャングルに戻った。


 料理を作り直して再びアクジキーに料理を食わせた。暴れまわる姿を見るのは二度目。さすがに気の毒に思いながら動画に収めた。


 マイルームに戻って動画の要望を考えた。


 ズビズビさんは要望があれば教えてほしいと言っていた。俺が決めないと動画を投稿できないだろうし早めに決めないと。


 俺は考えた末に、コケッコーは言葉をしゃべらないとだけ伝えた。


 ズビズビさんから了承の返事をもらって、俺は自分の動画編集をした。字幕をつけて前動画の雰囲気を維持しつつ、新しい要素を魅力的に見せるべく思考をめぐらせる。


「できた」


 クラマギには配信者に優しい機能が搭載されている。AIが動画作成者の意図を組んで字幕のタイミングや演出を考えてくれる。


 一昔前は時間やイラストをはさむタイミングを一から自分で調整していたという。大変だったろうな。

 

 作った動画を試しに視聴する。


 不気味な怪人コケッコーがジャングルに潜入し、食欲旺盛な大ザルと仲良くなるために料理を持っていくというストーリーだ。


 正直このコンセプトを思いついた時は自分を褒めたくなった。


 先日は気合を入れて作ったこともあって、あの超辛料理を何日分かまとめて作った。おかげで処分する方法に困っていたのだ。


 最初はマイショップに並べて売ろうと思った。一応あれでも料理だ。辛さに特化させたこともあって食べた後に発生するバフは強力無比。需要はある、かもしれなかった。


 でもショップに並べようとして気づいた。


 料理にはパラメーターがある。味やその他の要素はショップを見るだけで判別できる。


 俺の料理のおいしさを示すパラメーターは最低値。購入するのは物好きやネタを求める配信者くらいのもの。貴重なお金をはたいてシュールストレミングを食べる人はめったにいない。


 事実出品した料理の大半が売れ残った。売り払えない食べたくないとなれば捨てるしかないが、ゲーム内と言えど料理は料理。捨てるには抵抗があった。


 そして思いついたのが料理を誰かに食べさせる手法だ。友人には試せないがエネミー相手なら失う絆もない。俺のもくろみは上手くはまって動画のネタに昇華した。

 

 そしてその動画は面白い。俺は満足してコンソールを閉じた。


 きら丸やラムネと迷路で遊ぶうちにまたメッセージが来た。


 ズビズビさんからだ。動画が完成したので内容の確認をお願いしますと記されている。動画のていはコラボ動画。初めてのコラボ緊張するぜ。


 俺は添付された動画の再生アイコンをタップする。


 早速血まみれのニワトリが映った。反射的に体がビクッと震える。


「まさかのサプライズ!?」


 何だこいつ怖っ!


 と思ったら血にぬれているのは俺だった。


「演出の勝利だな」


 俺は安心して動画を再生する。


 この動画はフィクションですから始まるいくつかの注意書きを経てズビズビさんが映った。ジャングルをリポートするアナウンサーのように真剣な顔つきで奥へと進む。


 迫真の演技だ。動画だと分かっていても思わず見入る。


 前方で大きな物音が聞こえる。地響きに続いて獣の絶叫がとどろく。まるでこの世の地獄を見たような叫び声だ。


「これはアクジキーの声ですね。一体何があったんでしょうか、行ってみましょう」


 ズビズビさんが慎重に足を進める。俺はまさかと思いながらも息をのんで事の行く末を見守る。


 ズビズビさんが広場に出た。そこにいたのはもだえ苦しむアクジキーと、不気味な空気を漂わせてアクジキーを眺めるニワトリ男。さながら洗脳されまいと抵抗するアクジキーとそれを観察する術者だ。ジャングルの平和をおびやかす怪人テイストな物語が動画を盛り上げる。


……はたから見ると俺悪い奴みたいだな。


「でも面白いな」

 

 こういう動画編集もあるのか。何気ない日常も見せ方を変えるとエンタメになるんだな。


 怪人コケッコーが謎のジェスチャーを繰り出して動画が終わった。声にならない俺の言葉もズビズビさんの手にかかれば怪人の妖術だ。


 純粋に面白かった。


 俺はズビズビさんに感想と投稿OKの返事を出した。


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