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【祝20万PV達成】音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 藍色黄色


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第76話 横取りの味


 走る、走る。


 とにかく走る。


 俺のとなりではでかい丸みが転がっている。


 でけえ丸だ。グレイルブルーを使い果たしたきら丸にハイポーションを与えて再びでかくなってもらった。


 おかげで遠くからでも目立つ。


 このイベントでまずいのは複数のグループに囲まれることだ。スズさんと戦った場所から離れるには足を動かすに限る。


「お」


 正面にでかいのがいる。


 トラだ。プレイヤーが飼ってるって雰囲気じゃない。


 おそらくエネミーだ。律儀にも頭上にHPバーが表示されている。


「エネミーを倒すとバフを得られるんだったか」


 俺はスカイビジョンのウィンドウで周囲の状況を視認する。


 近くに点はない。


「やるなら今だな」

 

 俺はヴァルテクス・ハチェットを頭上に掲げた。青白い光が宙をかけてトラを打つ。


 麻痺にかかった巨体にストーンミサイルが命中した。次いできら丸の触手ムチが追い打ちをかける。


 俺も距離を詰めて斧でトラを攻撃する。


 トラがおたけびを上げた。俺の意思に反して両手が耳に当てられる。


「何だこれ強制かよ!」


 我慢しようと思えば我慢できる声量なのに体が動かない。しかもうるさいから人が寄って来るんじゃないかと気が気じゃない。


 こういうのは悪い予感ほど当たる物だ。


「うわ、来やがった!」


 スカイビジョンの右上に点が映る。エネミーの咆哮を聞いて横取りしに来たに違いない。


「早く早く!」


 咆哮終われ!


 そう願う間に体の硬直が解けた。すぐさまトラのHPを削りにかかる。


 途中でふと思いついた。


 トラのHPバーはまだ半分近く残っている。このまま攻撃を続けても他のプレイヤーが到着するまでに削り切れるかどうか分からない。


 だったらいっそのこと待ち構えればいいのでは。


「ゼロツー。俺が合図したら指差した方向にミサイルを撃ってくれ」

「エネミーに撃たないでありますか?」

「ああ。むしろエネミーには撃っちゃ駄目だ」

「了解であります」


 そのままエネミーと対峙すること数秒。注目していた光の点がピタッと止まった。


 エネミーと戦いながら確認したその場所には茂み。隠れてラストヒットだけかっさらうつもりのようだ。


 エネミーが体勢をくずした。


 俺はすぐに身をひるがえして左の人差し指を伸ばす。


「今だゼロツー、ストーンミサイル!」

「了解、ストーンミサイル発射であります!」


 破裂音に遅れて岩のかたまりが発射された。


「おわっ、こっち来る!」

「どけよお前!」


 どわーっ! という断末魔が上がってスカイビジョン内から光の点が消えた。


「やったぜ」


 これで安心してエネミー討伐に打ち込める。


 トラを討伐すると俺の体が光に包まれた。


「これがバフか」


 体が軽く感じられる。視界の左上を見ると牙のアイコンが見られる。


 アイコンに視点を当ててまばたきすると詳細が文字で表示された。


「攻撃速度を速めるバフか」


 俺は試しに斧を振る。


 少し早くなってる気がする。魔法とかにも効果があるんだろうか。


 試してみたいがゲージ技をエネミーに使うのはもったいない。プレイヤーと戦う時に体感するとしよう。


 俺たちはプレイヤーの寄りを想定して場所を移動する。


「ついでだしエネミー狩れるだけ狩っておくか」


 最初のミサイル爆破地点に集まったプレイヤーは相当な人数だった。生き残ったプレイヤーのステータスは相当加算されたに違いない。


 ジャングルにはエネミーの他にも植物系アイテムが生えている。回復アイテムの持ち込みもできるし消耗は望めない。


 余裕がある内にこっちも自己強化しておかないと。


「ん」


 ピンポンパンポーンと電子音が響き渡った。


「これから一分後にエリアが縮小されます! 外周の植物がエリアの中心を目指して動きますが、触るとダメージを受けるので注意してくださいね!」


 繰り返します。その言葉に次いで同じ内容が告げられた。


「縮小ってことは、他のプレイヤーに遭遇しやすくなるのか」


 エネミーの生息域もせまくなる。他のプレイヤーと取り合いになる可能性が高まりそうだ。


 バフは得れば得るほど有利になる。早く次を探さないと。


 遠くでおたけびが上がった。


 明らかに人の声じゃない。


「誰かがエネミーと戦ってるのか」


 チャンスだ。せっかくだから俺が横取りしてやるぜ。


 俺たちはおたけびが聞こえた方角に走る。


 光の点が近づいて靴音を殺す。


 そっと近づくと前方にゾウが見えた。三人のプレイヤーが囲んで対峙している。


 ゾウの頭上にあるHPバーは残り少ない。


「ゼロツー、ゾウにストーンミサイルだ」

「了解であります」

「きら丸、俺が斧を掲げたらゾウとプレイヤーにのしかかってくれ」

「キュッ」


 ミサイルが空間をにぎわせて射出される。


 プレイヤーとエネミーが気づいて振り返るものの時すでに遅しだ。ミサイルの爆発を受けてプレイヤーとエネミーがよろける。


 俺はヴォルテクス・ハチェットをかかげてプラズマを放つ。


 でけえ丸ののしかかりを経て、俺の体が新たな光につつまれる。


 エネミーに絡んでいた三人もポリゴンと化して砕け散った。


「これが横取りの味か」


 爽快感と優越感。これはくせになりそうだ。


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