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音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 藍色黄色


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第64話 土の妖精とミサイル


 欲しかった銘板は手に入った。俺はオーパーツABと忘却された銘板をアトリエの壺に放り込む。


 手前には車らしき物体。どこからともなくミサイルが映る。


 どういう原理で飛んでいるのか。どう見ても岩製にしか見えないかたまりが画面の下辺を目指す。表面に光の線が走る辺り燃料は魔力だろうか。


 今回の俺は逃げ惑う弱者だ。ボタンを押してレーンを切り替えることでミサイルをかわしつつ前進する。


 照準サークルを押すタイプではないがスピーディーだ。連続する爆発が地面を打ち鳴らすたびに画面が振動する。こっちまで地響きが伝わってくるみたいで、さながらハリウッド映画のごとく迫力がある。

 

「キュ、キュッ」

「ピィ」


 後ろのきら丸とラムネも興奮している。


 分かる、分かるぞ。


 ハラハラするよなこういうシチュエーション。いつミサイルが当たって爆散するか分からないこの緊張感、たまらねえぜ。


 でも俺は爆ぜない。必ず逃げのびて報酬を手に入れてやる。


 むっ、前方に障害物。


「うおおおおおおおおおおおっ!」


 ミサイルの落下地点を予測して落石などの障害物を避ける。


 ミサイルだけじゃない。振動に遅れて降る瓦礫の回避も並行して行う。


 いそがしい。


 でも楽しい! 最近作業感あるクラフトを続けてきたから心がふわっとして仕方ない。


 あっという間にパーフェクトだ。


「ふいーっ」


 久しぶりに熱中してしまった。満足だ。


 ともあれオーパーツCゲット。早速鍛冶場に転移した。


 カジさんとゼロツーを見つけて口を開く。


「オーパーツC持ってきたぞ!」

「おおフトシ速かったのう。んじゃ早速パーツ作りに取りかかるぞい」


 カジさんが目をキラキラさせてハンマーを持ち上げる。


 分かるぞカジさん。俺もこの時を待ちわびていたからな。


 まあパーツ作りで俺にできることはないんだけど。


「何か俺にできることあるか?」

「今はないのう。しいて言うなら肩もんどくれ」

「俺妖精たちの様子見てくるー」


 ウンディーネとサラマンダーは仲良くやっているだろうか。心配だ。


 心配で夜も眠れないから肩もみはゼロツーに任せた。鍛冶場を出て妖精たちの様子を見に行く。


 訓練場に足を運ぶとシルフ、スプリガン、ウンディーネ、サラマンダーの四種族が合同で訓練を行っている。


 遠くから眺めてふと思いついた。


 アメリアの姿を見つけて歩み寄る。


「アメリア、今時間いいか?」

「はい。今行きます」


 アメリアが部下に指示を出してグループから離れる。


「何ですかフトシさん」

「妖精について詳しいわけじゃないんだが、もう一種類くらいいたりしないのか? 火水ときたし、土とか」

「よく分かりましたね。確かに妖精には他にもノームの種族があります。でも妖精界に戻ってから行方が分からないんですよ」

「それって昔俺たちの世界からここに逃げ込んだ時のことだよな」

「はい」


 ってことは連絡先なんか交換してないか。


 派手な侵攻をしたサラマンダーを見つけるのだって時間がかかったんだ。ノームが隠れ潜んでいたら見つけるのは難しい。


「村長、お客さんです」


 アメリアに呼びかけたのは門番を務めるシルフだ。


「お客さん?」

「はい。ノームを名乗ってますけど」


 俺は思わずアメリアと目を見合わせる。


「今行きます。その方がいる場所まで案内してください」


 俺は羽ばたくアメリアの背中を追いかける。


 シルネ村の門付近に小さな人影があった。茶色の衣装をまとうそれの背中には羽が生えている。


 頭には帽子にゴーグル。発掘家を思わせる様相だ。色合いが地味目なだけにオレンジの髪がよく映える。


「お待たせしました、村長のアメリアです。あなたがノームの方ですか?」

「うん! わたしミャンセ。ノームの代表やってるの」


 あどけなさが弾ける。咲き誇ったひまわりを擬人化したらこんな感じになるんだろうか。


「ミャンセさんですね。どうしてシルネ村に?」

「ほら、あなたたちこの前から集まって何かしてるでしょ? 楽しそーだなーと思って見に来たの!」


 無邪気な笑み。はしゃぐ子供を前にしているみたいでほっこりする。


 物言いからして、ノームはどこかで俺たちを見てたってことか。


「楽しそうって、私たちは別に遊んでいるわけでは」

「そうなの? でも別種族を村に招いて何かしてるよね? わたしたちだけ仲間外れは嫌だから混ぜてほしいなーっ」


 俺はそっと手招きする。


 アメリアがきれいな羽をひらひらさせて寄った。花にも似た芳香に鼻腔をくすぐられる。


「この際だしノームも味方に引き入れたらどうだ?」

「そうですね。事情を話して協力をあおいでみます」


 アメリアがミャンセに今までの成り行きを告げる。


 ミャンセが元気よくうなずいた。


「いいよー! わたしたちも協力したげる!」


 アメリアの表情がぱっと明るくなった。


「ありがとうございます。早速他種族の方に紹介したいのですが、他のノームは近くにいるんですか?」

「近くではないけど、そう遠くないところにいるよー」

「分かりました。他のノームについては後日顔合わせをしましょう。まずはミャンセさんだけでも紹介させてください」

「分かった!」


 俺はアメリアたちと元来た道を戻る。


「ノームは何か得意な技とかあるのか?」

「土の魔法は得意だよー。お野菜とかおいしいの」

「岩を飛ばす魔法とかないのか?」

「あるよー。わたしはあんまり得意じゃないけど」

「使い方を教えてくれないか!」

 

 脳裏に浮かぶのはオーパーツCを作る際にプレイしたミニゲーム。


 岩を飛ばせるなら攻撃手段として使える。自由がきくならミサイルを作るなんてことも!


「んータダじゃやだ」


 振る舞いは子供っぽくても長は長。何もなしに情報を提供したりはしないか。


「何が欲しいんだ?」

「そうだなー」


 ミャンセが口元に人差し指を当ててうなる。


 ひらめいたように微笑が浮かんだ。


「じゃあみんなが持ってるの作って」

「みんなってシルフのことか?」

「シルフもそうだけど、赤いのとか青いのとかみんなが着てるやつ! わたしたちにも作ってほしいなー」

「たちって複数形かよ」


 またたくさん防具を作らないといけないのか。きら丸やってくれるかなぁ。

 

 でも背に腹は代えられない。ミサイルのためだ。


「駄目なの?」

「駄目じゃない。任せろ」


 サムズアップで強調。何としてもミサイルを手に入れてやるぜ。


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