表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝10万PV達成】音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 磯野カジキマグロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/53

第53話 栽培依頼

 

 アメリアに剣を渡した後は他の妖精にも武器を配った。


 俺は妖精界を出てマイルームに戻った。温室に入って、マクワの実を種に変換して土に植える。


 我ながらのんきだとは思うが、シルフとスプリガンの装備を作ったんだ。出費はばかにならないし、有事の際にアイテムが買えませんでしたじゃ話にならない。もしもに備えてマニーは稼いだ方がいい。


 種を植え終えてマイショップを開いた。売れた分の代金を回収してからアトリエに踏み入る。


 壺に素材アイテムを投げ入れた。


「きら丸、やってみるか?」

「キュッ!」


 キラキラした丸みがぴょんと跳ねて壺の前に立った。浮かび上がったウィンドウがミニゲームの画面に転じる。


 既視感のあるミニゲーム模様を眺めながら考える。


 マニーにはまだ余裕がある。ダークエルフとの戦いに備えて防具も作りたい。

 

 でも数が数だ。質のいい物をそろえるなら相当なマニーと素材が飛ぶ。


 いくら貯蓄があるといっても無限じゃない。ふところがすっからかんになるのは嫌だ。


「でもやられたら後悔しそうだしなぁ」


 いくら巨大化したところで、アメリアたちが俺より頑丈になるとは思えない。死者が出てクエスト失敗したら大変だし、何より親しくなったNPCが消えるのは胸くそ悪い。


「やっぱ防具作るか」


 どうせ作るなら高性能なやつだ。費用はかさむだろうが収入源のあてはある。


 問題はどうやって数を用意するかだな。


「専門の人に聞いてみるか」


 コンソールを開いて依頼の欄を開く。


「あった」


 クラフトの受注でマニーが動くんだ。植物系アイテムの栽培を受け負うプレイヤーがいてもおかしくないと思ったがビンゴだ。


 早速栽培の依頼をした。温室で植えなかったマクワの実を三個送る。


 通知が入った。


「何だ、もう栽培できたのか?」


 いくら何でも早すぎる。どんな温室使ってるんだ。


 俺は通知を開いてメッセージを確認する。


「ん」


 見覚えのある数字とローマ字。これは招待コードだ。その下には電子的な文字で話をしたいと記されている。


「文章の順番逆じゃね」


 あるいは先にコードを送るほど俺をマイルームに呼びたかったのか。


「会うだけ会ってみるか」


 無視して拗ねられても困るしな。会うだけならタダだし悪いことにはならないだろう。


 クラフトに満足したのか、きら丸がラムネと迷路に入った。


 俺は招待コードから他プレイヤーのマイルームに飛んだ。


 辺り一帯植物が生えている。色んな植物が分けられて茂るさまは畑みたいだ。


 正面に見える玄関のドアがバンッと開かれた。


 玄関前に現れたのはほわほわした雰囲気の女性。おさげにされた金髪がやわらかそうな雰囲気を醸し出す。


 あどけなさの残った顔は真に迫っている。


「こ、これどどどどこで入手したんですかっ⁉」


 声を張り上げながら駆け寄ってきた。あまりの迫力に変な声が出そうになる。


「これって?」

「これですよこれ!」


 女性が小さな手をかざす。

 

 彼女の指にはマクワの実が握られている。


「ああ、マクワの実か。それは――」


 告げようとして口をつぐんだ。


 マクワの実はアメリアたちの主食だ。プレイヤーが殺到して採り尽くされたら大変なことになる。


「内緒だ」

「教えられませんか。そうですよね、こんな希少な実の入手方法、タダで教えてくれるわけないですよね」


 少女がしゅんとする。


「悪いな、こればっかりは俺の一存じゃ決められないんだ。ところで君はファムさんか?」


 少女がハッとして一歩下がった。


「申し遅れました、わたしファムです。植物系アイテムの栽培を請け負ってます」

「俺はフトシだ」

「知ってます、クラフトがすごい人ですよね。あときら丸さんがかわいい」


 ファムがあっちこっちを見渡す。


「きら丸は連れてこなかったんだ。悪いな」

「い、いえ、連れてきてくださいと書かなかったのはわたしですし」


 言葉とは裏腹にファムがうつむく。


 今からでも連れてきた方がいいだろうか。


「むんっ!」


 ぱちんっ! とほっぺが鳴る。


 小さな両手が彼女自身のほおを打った音だった。


「マクワです」

「お、おう?」

「マクワの実です! わたしに依頼してくれるってことでいいんですよね?」

「おう」

「やったぜ!」


 少女が体の前で両手をグッと握りしめる。


 何だこの子、面白い子だなぁ。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


もし面白いと思いましたら、★評価とフォローをしてくれると作者のモチベーションがとても上がります!


感想やレビューなどもしてくれると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ