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【祝10万PV達成】音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 磯野カジキマグロ


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第43話 もう一回やる?


 マイルームに戻るなりアトリエに入った。ジャングルで得た蔓アイテムを端材に変換して壺に投げ入れる。


 ウィンドウにバタくさい男性が映った。迷路を進む人型を背景にノーツが落ちてくる。


 探検家の男性は坂を上ったり転げ落ちたりしていそがしい。アクションとノーツがマッチしてるから分かりやすいが、あまりに迫真だから吹き出してミスりそうになる。


 男性が足を止めた。


 前にあるのは赤と青の通路。


 赤の道を選ぶと難しくなる代わりに報酬がよくなる。青は少し簡単になるぞってことをファンキーかつアメリカンに説明してくれた。


「何だこのおっさん」


 一人で探索してるくせに、一体誰に話しかけてんだ?


 考察しているとノーツが二つ落ちてきた。


「俺に選べってことか」


 せっかくだから赤の道を選んだ。おっさんが意気揚々と赤い通路に踏み出す。


 大きな岩の玉から走って逃げた。


 穴を跳び越し損ねて危うく奈落へ落ちそうになった。


 色んな意味でハラハラしながらミニゲームをクリアした。おっさんが宝箱を開けてイヤッホーを口にする。


「よかったなおっさん」

 

 むじゃきな笑顔を見ているとほっこりする。おっさんなのに。


 宝箱の光に遅れてパーフェクトの文字が記された。



迷蔓めいまんその

再生する蔓で構成される迷路。クリアするたびに蔓が生え変わって違う迷路が形成される。

アビリティ【向上心のかたまり】 

素晴らしい出来。このレベルの物は中々お目に掛かれない。



「アビリティはお団子ピラーと同じか」


 経験値効率が上がるのは大歓迎だ。特にラムネはレベルが上がらないと外に連れていけないみたいだし。


 俺はアトリエを出てコンソールを開く。


 がらんとした空間に蔓が伸びた。しゅるると伸びる緑がまたたく間に迷路を構成する。


 結構……グロいな。


「きら丸、ラムネ、あの迷路で遊ぼうぜ」

「キュ」

「ぴぃ」

 

 ペットを連れて迷路に近づく。


 視界内が真っ白になる。


 秒とせず白以外の色が戻った。


 きら丸とラムネがいない。目の前に勝利条件を記したウィンドウが表示される。


「中央を目指せばいいんだな」


 参加者の欄にはきら丸とラムネの文字。どうやら別の入り口にいるらしい。


『読み終えた』のボタンを押す。


 電子的な文字が切り替わって『5』の数字が表示された。


 4、3、2、1。


 カウントダウンを経て地面を蹴った。

 

 無論全力疾走。飼い主たるもの、勝って威厳を見せつけねばならぬ。


 分かれ道に差し掛かった。正面の壁にはボードが飾られている。


 T字が描かれた図。右側には赤い丸が描かれている。


 迷うだけ無駄だ。俺はノータイムで右方の道に走り込む。


 間違えていてもどうせ行き止まりってだけだろ。一度赤丸の意味を確認した方がいい。


 そう思って走った先で蔓が壁を作る。


 行き止まりと思って立ち止まると、たちまち蔓にまとわりつかれた。


「おわっ! 何をする、離れろぉっ!」


 ひたすら腕や脚を振る。


 十秒ほどして蔓が離れた。すぐに元来た道を戻る。


 思わぬタイムロスをしてしまった。図がある場所までたどり着いて、今度は赤丸がない通路を選ぶ。


 今度は赤い三角だ。


「何だよ三角って」


 丸は駄目だった。三角ってことは中くらいか?


 どちらにせよ蔓にまとわりつかれるならごめんだ。


「左!」

 

 赤の三角を避けて走る。

 

 何もなかった。新たなる分岐点をむかえて足を止める。


「今度は四角かよ」


 しかも赤い。これは赤いのが駄目ってことか。

 

 分かってしまえばこっちのものだ。


「お」


 視界が開けた。正面に映る地面には魔法陣が描かれている。

 

 あれがゴールに違いない。


 むっ、曲がり角からきら丸が!


「うおおおおおおおおっ!」


 走る。


 全力で、走る。


 威厳! 飼い主の威厳を示さなければならぬがゆえに!


「ごおおおおおるッ!」


 俺は腕をかかげた。きら丸が「キュ~~ッ」と鳴きながらぺにゃーっとへこむ。


 最後にラムネが到着してリザルト画面が表示された。


 一位はもちろんこの俺。主の威厳を示せたようで何よりだ。


「ぴぃーっ、ぴぃーっ」


 ラムネがばたばたと翼をはためかせる。


「お、もう一回やるか?」

「ぴぃーっ!」

「キュッ!」

 

 きら丸もやる気満々だ。


「じゃあやるか」


 リザルト画面から『もう一回プレイする』のボタンをタップする。


 再び転移が行われてまた走る。

 

 今度は問題が変わっていた。蔓にまとわりつかれて存分にタイムロスを果たす。


 全力疾走したものの、先に魔法陣まで到達したのはラムネだった。


 祝うようなサウンドが鳴り響く。



【おめでとう! ラムネがレベル2になりました!】



 ラムネの体が光を帯びた。体が少し大きくなって体が明るい水色を帯びる。


 翼の羽が生えそろった。続いてウィンドウが表示される。



【レベル2になったのでスキルを以下の中から一つ獲得できます】

『視界共有』『フェザーライト』『青の祝福』



「スキル選びだな。どれどれ」


 文字をタップして詳細を確認する。


『視界共有』はその名の通り、ラムネの視界を共有するスキルのようだ。


 翼が完成したからには空を飛べるはず。上から見下ろした際の情報アドバンテージは相当なものだ。


 でも。


「なしだな」


 ただの戦闘スキルには興味ない。採取ポイントの場所は覚えればいいんだ。あざわざラムネに探してもらう必要なし。


 次に『フェザーライト』。


 こちらはアクティブスキルのようだ。発動したら上から光の羽を振らせて、範囲内にいる味方の移動速度を上げる。


 エネミーの攻撃を回避しやすくなるのは嬉しいけどやっぱりなしだ。範囲指定のスキルじゃ採取の効率は高められない。


 残りは『青の祝福』。こちらのスキルはテイマーの運が少し上がる。


 シンプルだが興味深い効果だ。


「運って言うとレアアビが付きやすくなるのかな」


 他にもレア素材を得られやすくなるとか? だったらいいなぁ。


 どのみち他の二つは微妙。俺が選ぶべきスキルは一つだ。


「幸せの青い鳥ってな」


『青の祝福』を選択してウィンドウを閉じた。


「キュッ、キュッ」


 きら丸がラムネに向き直ってぴょんぴょん跳ねる。ラムネの成長を喜んでいるようだ。


「じゃキリもいいしそろそろ出るか」


 ぷにっとした感触。


 視線を下ろすと、左手首に触手がくっついていた。

 

「……もう一回やる?」

「キュッ」


 きら丸だけまだ一位とってないもんな。気持ちは分かる。


 でもラムネ飛べるようになったし、これから一位取るのは難しいんじゃないかなぁ。


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