表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝10万PV達成】音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 磯野カジキマグロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/53

第42話 永遠の絆(?)

 

 俺たちは調査を終えてブリーダさんと解散した。


 俺はきら丸と小鳥を連れてマイルームに戻った。新しい住人に部屋を案内して回る。


 一通り歩き回ってアトリエに入った。


 元気づけるには美味しい物を食べるのが一番だ。ウィンドウを開いてレシピ欄をスクロールする。


 この鳥は何を食べるんだろ。ブリーダさんはペット用のエサがあるとか言ってたけど。


「お、あった」


『宝石箱のようなフルーツアソート』。鳥類ペットにも適性のある飲食系アイテムだ。


 必要な素材は妖精界で採れる果実。俺は色とりどりな果実をツボの中に落とす。きら丸も食べるかもしれないし二匹分の素材を入れた。


 眼前のウィンドウに意識を集中させる。


 ノーツが奥から手前に回転寿司のごとくやってくる。


 全体的にファンシーだ。ボタンを押して弾けるノーツはカラフルで華やか。まるでお菓子の世界に迷い込んだような錯覚を受ける。


 大して難しくないこともあってあっさりクリアした。


「よし、できた」


 おやつを容器に入れて外に出た。きら丸と小鳥の元に持っていく。


「おやつできたぞー。食べるか?」

「キュ!」


 きら丸がぴょんぴょんと跳ね寄る。


 小鳥の方は元気がない。あんなことがあったんだし当然か。


「おいで」


 俺は腰を落として手招きする。


 小鳥がおずおずと歩み寄った。きら丸を見て、そーっと容器の中身をくちばしで突く。


「ぴっ!」


 小鳥が一鳴きして二口目をついばんだ。小さな体が勢いに乗ってがつがつとお菓子を食べる。


「これだけ食べれるならもう大丈夫だな」


 心の傷が癒えるにはもうしばらくかかるだろうが、食べさえすれば生きてはいられる。いい思い出がまた小鳥を元気よく鳴かせるだろう。


 その思い出を作るのは俺自身。自然と気が引き締まる。


「そういえば名前決めなきゃな。何にしようか」


 小鳥を眺めて、脳裏に一つの案が浮かんだ。


「よし、今日からお前の名前はラムネだ」

「ぴぃっ」


 小鳥が顔を上げて鳴く。


 跳ねるようなサウンドが鳴った。目の前にウィンドウが展開される。

 


【ジョブ『ブリーダー』のレベルが2になりました!】



 続いてウィンドウが浮かび上がる。


「スキル2になったことでアクティブスキル『エターナルボンド』を修得しました、か」


 ジョブのスキルを修得したのは始めてだ。これでまた戦術の幅が広がったってことだな。


 スキルの名前をタップして詳細を確認する。


『エターナルボンド』はペットと連携して攻撃する技のようだ。エネミーとの戦闘でゲージがたまると特殊な攻撃を繰り出せる。


 このスキルを修得すると友愛度なるものが解禁される。これが高まると威力の上昇や特別な行動が発生するのだとか。


「本領を発揮するまで時間がかかりそうだな」

「キュ」 

「ぴぃーっ」


 何やら騒がしい。


 ウィンドウから顔を上げると、きら丸がお団子ピラーに巻きついていた。ラムネがそれを見上げてはしゃいでいる。


「二匹で遊べる遊具あるかな」


 クラフトレシピを検索。


 いい感じのがあった。


迷蔓めいまんそのか」


 複数のペット専用の迷路だ。中央にある出口を目指して順位を競う。


 何とこの迷路、プレイヤーも一緒に遊べるらしい。


「よし、これに決めた」


 俺はマイルームに戻って出発の準備を整える。


 向かう先はブリーダさんと踏み入ったジャングルだ。作りたい遊具の端材を入手するには、ジャングルで得られるアイテムが必要になる。


 現時点ではラムネを戦闘エリアに同行できない。レベルが不足していますと表記されたし、レベル2にならないと連れていけないのかもしれない。


 俺はでけえ丸を連れてジャングルに踏み入る。


 採取ポイントが映るたびに立ち寄った。特に植物だ。蔓と名のつくアイテムが必要だから欠かさず採取する。


 小型エネミーも討伐しつつ歩みを進めていると、途中できら丸の絆ゲージがたまった。


 これでアクティブスキルを使える。でも弱いエネミーに使ったところで一発で消し飛ぶのは目に見えてる。


 どうせならボスエネミー相手に試したい。


「手頃なやついないかな」


 引き続き探索を続けていると前方で植物がうねった。


「何だありゃ」


 近づくと開閉する大きな口が見えた。いくたもの蔓が渦を巻いて無数の歯を形作っている。


 その周りでうねるのは蔓の触手。十本におよぶそれらがうねりながら大きな頭部を運んでいる。遠目で見えたのはこの触手だったらしい。


 おそらくはエネミー。頭のでかさだけで俺の背丈の倍はある。


 一見すると強そうだが……。


「挑んでみるか」


 物は試しだ。


 遊具の素材には蔓が含まれている。もしかするとあのエネミーからドロップする素材かもしれない。


 だったらやるしかないだろう。


「行くぞきら丸」

「キュ」


 抑えめの声で意思確認してからエーテライトの儀礼剣をかかげた。


 次いでレッドリングの魔法も使用。先制攻撃をすませて距離を詰める。


 エネミーが触手をわちゃわちゃさせて方向転換する。


 触手がしなった。


「わっと!」


 反射的にジャンプ。となりできら丸も跳ぶ。


 続けざまのなぎ払いには頭を下げて対処。触手の数だけ体を駆使してやり過ごす。


「まるで大縄跳びだな」


 少年だった頃を思い出す。ペットの数が増えたらここで大縄跳びするのも悪くないな。


 なぎ払いが終わって触手の動きが落ち着いた。


 チャンスとばかりに駆け寄って腕を振りかぶる。


 狙うは触手。頭を斬りつけたいところだが、いちいち縄跳びにつき合うのは面倒だ。触手の数を減らせるならそれに越したことはない。


 触手を二本斬り飛ばすと頭部が大きな口を開いた。


「痛って!?」


 左腕をガブガブやられる。

 

 植物だけあって腕を持っていかれることはなかった。


 でも痛い。ゲーム内システムで痛覚は抑えられているがチクチクする。


「てめこんにゃろ!」


 剣で叩く。叩きまくる。


 横目を振ると、でけえ丸も触手を伸ばしてえいえいと叩いている。


 かわいい。


 でも全く効いているように見えない。何か武器でも持たせた方がいいんだろうか。


 緑の頭部がくらっとして空をあおぐ。


 たたみかけるチャンス到来だ。


「よし、エターナルボンド使ってみるか」


 コンソールを介してスキルを発動する。


「お」


 右腕が勝手にかかげられた。左手を添えた状態で体が固まる。


 何かが始まる予感。わくわくどきどき。


「キュ」


 でけえ丸も動いた。俺の近くで跳ねたかと思うと、お団子ピラーで見せた時のように体を伸ばす。


 きらきらした半透明な体が剣身を包み込む。


「おお?」


 俺の上半身が動いた。何かを振り回すようにぐるぐると動く。


 遠心力に引かれてでけえ丸の体が地面を離れる。


 これは、まさか。


「うおおおおおおおお!?」


 俺の体がジャンプした。エネミーがのっそりと頭部を起こす。


 復帰したての頭にきらきらしたムチが直撃した。エネミーが悲鳴を上げてまたダウンする。

 

 体がシステムの強制から解放された。


「何だったんだ今の」


 もしかして今のがスキル? きら丸をムチにして振り回したのが?


 復帰したばかりのエネミーを再度ダウンさせたくらいだし、威力は相当なものだろう。エーテルの矢よりも高威力なのは確実だ。


 でもまさか、俺がペットを振り回すことになるとは。


「キュ」


 でけえ丸が剣から離れてエネミーに跳ね寄る。


 俺も追撃のために剣のアビリティを使用する。


 青白い矢がエネミーにとどめを刺した。眼前に展開されたリザルト画面が入手したアイテムを書き記す。


「お、あったあった」


 見た目に違わずあのエネミーが目的のアイテムを持っていた。


 俺は満足感を胸に抱いてマイルームに戻る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ