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【祝10万PV達成】音ゲーマスターのおっさん、VRMMOのクラフトで評価Sを連発して無双する  作者: 磯野カジキマグロ


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第14話 俺のだっつの!


「暴力! フトシの首を縦に振らせるまで!」

「袋だたきにする気かよ! ずるいぞ!」

「ここは剣と魔法の世界。暴力こそが王道なり!」

「なりィ!

 なりィ!

 なりィ!

 なりィ!」


 キャラに濃いなぁこいつら。


 感心してる場合じゃない。これから五人が襲いかかってくるんだ。


「ぶっつけ本番になるが仕方ねえ!」


 俺はシャインライトの儀剣を引き抜いて頭上にかざす。


 一対五。正面から当たって勝てるとは思えない。


 まずは武器の特殊効果で驚かして、その隙に街まで駆け込もう。


 街ではプレイヤーを攻撃でない。逃げ込めれば俺の勝ちだ。


「いけ、シャインライトの儀剣!」


 おしゃれな剣が輝いた。散った光が雨のごとく五人に降り注ぐ。


「おわっ⁉ 何じゃこりゃああああっ!」


 一人がポリゴンと化して砕け散った。


 あれ、こいつらもしかして弱い?


「ヤスシぃぃぃぃっ!」

「おのれ、よくもヤスシを!」

「何で襲われてる俺が悪者みたいになってんだよ」


 しかもすっごく楽しそう。俺も混ざりたいくらいだ。


「キュッ」

「分かってるって」


 ぼんやりしてる時間はない。地面を蹴って街の入口へと急ぐ。


「待て、おいらのきら丸!」

「お前のじゃねえ! 俺のだっつの!」

「そうだ俺のだ!」

「そうだそうだ!」

「俺のだっつってんの!」


 よし、もう少し!


 しかしまわりこまれてしまった!


「へへ、もう逃げられんぞ」

「あいにくリキャスト終わってんだよ。くらえ!」


 もう一度儀剣をかかげた。光の雨が残りの四人を打ちすえる。


 残り三人。数を減らしたけど囲まれた。


 くそ、こんなことなら剣道でもやっておくんだった。


「ちょっとあんたら何してんの!」


 三人が体をびくっとさせてバッと振り向く。


 彼らの視線を目で追うと一人の女性が立っていた。ツリがちな目つきはいかにも気が強そうだ。


「り、リーダー。復帰してたんですか」

「気分が変わってね。それで、あんたらは一人のプレイヤーに寄ってたかって何してるの」

「いやその、イベントで話題になったクラフターを見かけたので、スライム売ってほしいと持ちかけたんです」

「ああ、フトシって人ね。で?」

「断られたので、説得を」

「プレイヤーキルという名の肉体言語ね。確かに暴力は全てを解決するって言うものね」

「そういうことです」

「バッカじゃないの!」


 三人がひぃっと悲鳴を上げた。 


 普段のパワーバランスがよく分かる図だ。


「あんたたちさぁ、誰かにお金積まれたらペット手離す?」

「手放しません」

「百回キルするぞって脅されたら?」

「千回キルされて愛を証明します」

「でしょ? 大金とペットの価値は必ずしもつり合うわけじゃないの。それはあのプレイヤーも同じ。分かったら仲間復活させて全員で謝りなさい」

「はい」


 あっさりすぎる了承だった。


 三人がキルされた二人を復活させたのち、俺に向けてこうべを垂れた。


 女性プレイヤーが歩み寄る。


「私のクランメンバーがごめんなさい。私はクランリーダーのサグミ、です……ほんとに先輩そっくり。こんなことってあるんだ」

「はい? 最後の方小さい上に早口でよく聞こえなかったんだが」

「いえ、何でもないです。あなたはフトシさんですよね。イベントでインタビューに応じてた」

「ああ。表彰式の時の話な」

「私はクラフトにはうといのでよく分からないんですけど、クラフトのどこを面白いと思ったんですか?」

「そりゃミニゲームだよ。手から伝わるボタンの感触がくせになるし、判定ラインでエクセレント連発すると気持ちいいだろ。例えるならそう、自分の手が自然現象と一体化して水面に波紋を広げてる気分だ」

「えーっと、よく分からないですけど分かりました。とにかくクラフトのミニゲームが大好きってことですね」

「そういうこった」


 物分かりのいいクランリーダーで助かる。一時期はどうなることかと思ったけど無事にこの場を切り抜けられそうだ。


「じゃあ俺はそろそろ」

「あの」


 ぎくっとして足を止める。

 

 もしかしてこの人もきら丸を売れと言うつもりか。


 どうしよう。一かばちか、全力で街まで走った方がいいか?

 

「私、最近クラフトに興味出てきて」


 クラフト。

 

 そのワードにグイッと意識を引っ張られた。


「クラフトのミニゲームに興味が?」

「はい。でも中々難しくて困ってるんです。もしよければ時間ある時に教えてくれませんか?」

「それくらいならいいぞ」

「ありがとうございます。じゃあフレンド登録いいですか?」

「ああ」


 サグミさんがぱっと表情を華やがせる。


 この人はペット愛好会のメンバーに恐れられている。またメンバーに襲われないとも限らないし、連絡を取れるようにしておいて損はない。


 フレンドの欄にサグミさんの名前が追加された。


 オオガワに続く二人目のフレンドを得て、俺は新しい街へと一歩踏み出す。


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