「聖女強奪未遂!?魔族ヴェルゼル、襲来」
ついに初の敵キャラ登場!
魔族“ヴェルゼル”という謎の美形が現れ、カナコが拉致の危機に⁉
……でも、アースファルトさんが超かっこよく守ってくれます!
戦いに巻き込まれていくカナコが、初めて「自分も戦う」と決意する回です。
今後のバトル展開にもご期待ください!
読んでくださる皆さん、本当にありがとうございます!
彼の腕に抱き寄せられた瞬間、すぐ頭上を巨大な石の破片がすり抜けて落ちていくのが見えた。……いや、これ普通に直撃してたらアウトだったやつでは?
(あぶなっ! 本気で死ぬかと思った……!)
辺りには土煙が立ちこめ、視界が白く曇っていく。咳き込む私の背中をさすりながら、アースファルトさんが周囲を警戒している。
「……まさか、こんな早くに……!」
「なにが起きたの!? 敵襲?」
そう問いかけると、彼はすぐ頷いた。
「魔族……っ。あの気配は、魔族の上位種――“黒の従者”かもしれません!」
(黒の従者? なにそれ……ってか、めっちゃ強いやつじゃん!?)
そのとき、土煙の中から、影がゆっくりと現れた。
角があり、翼があり、細い体に漆黒のマントをまとった、まるで絵本に出てきそうな悪役そのものの風貌。
そしてなにより――とんでもなく美形だった。
「……へぇ。聖女、現れたばかりにしては、なかなかやるじゃないか」
その男は薄ら笑いを浮かべながら、私を見て言った。
「“瘴気結界”を一瞬で吹き飛ばすとはね。君の力に、興味があるよ」
(え、瘴気結界って……あのモヤモヤ? 息苦しいと思ったら、あれ、魔族の結界だったの!?)
(てか、こっちの世界の魔族って……美形枠なの?)
確かに整ってる。シュッとしてる。なんか中性的な色気すらある。
でも……なんだろう、この感じ。王子様のときと似たような、警戒センサーが全力で鳴ってる。
「アースファルトさん……彼って、何者?」
「……おそらく、魔王直属の精鋭部隊“黒翼団”のひとりです。“ヴェルゼル”と呼ばれる強力な魔族……!」
そんなヤバいやつがなぜ今ここに……!?
「なあ、カナコ。君――“聖女”だろう?」
……え、なんで名前知ってんの!?
(まさか、どこかで情報が漏れてる……!?)
「おとなしくついてきてくれたら、この国くらい、好きにしてもいいんだぜ?」
はい出た、誘拐フラグ。
「お断りします☆」
即答してやった。
するとヴェルゼルと名乗った(勝手に名乗ったことにしてる)魔族はくすっと笑って、マントをひるがえした。
「じゃ、強引に連れていくね?」
はい脅しフラグ。
その瞬間、アースファルトさんが前に出た。
「聖女様に指一本触れさせません!」
――そして始まる、アースファルトさん vs イケメン魔族。
もうね、恋愛ルート開拓されすぎてカオスなんですけど……。
でも、ここで一つわかった。
この世界では“見た目がすべて”と言われてるけど、私はそうは思わない。
だって、いざというときに守ってくれるのは、キラキラ顔の誰かじゃなくて、真っ直ぐな瞳のあの人だから。
「アースファルトさん……私も、戦います!」
私の中で、なにかが確かに目覚めた気がした。
(魔族がどうとか、美醜がどうとか――そんなの関係ない!)
私の力で、この国を、私自身の手で守ってやる!
たとえこの世界が、美しいものしか価値がないと決めつけていても――
私は、私の信じる“カッコよさ”で戦うんだから!
──次回、お楽しみに!
お読みいただきありがとうございました!
今回は、新キャラ・魔族のヴェルゼルが登場しました!
「美形=悪役」な世界ですが、強さと魅力は本物……
でも、カナコはそれに流されない芯の強さを見せ始めました!
次回はバトル展開突入!
アースファルトさんとの連携にもぜひご注目ください!
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