「美醜逆転世界で、イケメンに跪かれました。」
※このお話は、ちょっぴりぽっちゃりで癖毛の“ブサカワ”女子高生・カナコが、突然異世界に転移し、「その容姿こそが神の美!」と崇められるドタバタコメディです。
イケメンから「恐れ多い」と避けられ、跪かれ、挙句には「天使様」扱い!?
美醜逆転・勘違い多めの異世界生活、今回もどうぞゆるっとお楽しみください♪
なんとなく状況を察した私は、とりあえず優しく、ゆっくりと声をかけた。
「ダイジョブデスヨー。ワタシハアナタが怖くないデスヨー。えっと、目が覚めたらこの世界に来ちゃってたみたいなんですけど、ここは……日本じゃないですよね?もしかして、伝説とか召喚とかで、渡り人とか聖女様とか来ちゃったりする系の世界ですか? ちなみに私の世界では、アナタは“美しい”部類に入ります。私はどちらかというと、“ブサイク”側です。」
そう、私は最近の異世界転移に詳しいラノベ読者なのだ!
とにかく、話を進めようと思った。
すると、男性は驚いたように目を見開き、恐る恐る話し始めた。
「あなた様は……私が怖くないのですか? たしかに、あなた様がおっしゃるように、この世界に“日本”という国は存在しません。今いるのは、アリステリア王国の片隅にある森です。この国には、ある伝説があるのです。
“渡り人が現れ、聖女として魔族から国を救う”――。そしてあなた様のような、ふくよかで、鼻が小さく、つぶらな瞳、黒目、黒髪、強そうな毛根は、最上級の美しさとして讃えられています」
……やっぱりなー。
ここ、異世界。しかも美醜の価値観、完全に逆ーー!
てか、全然褒められた気がしないんだけど!?
とりあえず冷静を装って、会話を続けることにした。
「えっと、私、野々村カナコといいます。神様とか女神様とかから、啓示とかは特に受けてないんです。なんか気づいたら、ここにいて。たぶん……異世界転移だと思うんですけど」
すると男性は頷いて、
「……ですが、あなた様は“渡り人”である可能性が高いと思われます。聖女かどうかは、王城の魔法師による判断が必要ですが、渡り人は王城にて保護される対象です。もしよろしければ、明日、私が王城までお連れいたします。……お嫌でなければ……」
その言葉に、私はすかさず答えた。
「お願いしますっ!」
こういうときは、まずストーリー的にも王城ルートが安定ルート!
ここは保護されて、安全な道を行くべし!
男性はまた目を丸くし、驚いたように口を開く。
「では……近くに私の小屋がございます。今日はもう日が暮れかけており、魔獣たちの危険もあります。どうかお泊まりになってください。私は王国で傭兵をしている、アースファルトと申します。け、決して怪しい者ではございません」
彼は申し訳なさそうに言った。
私は察した。
これ、たぶんこの世界ではアースファルトさんみたいな見た目の人が、蔑まされてるんだな。
めっちゃ親切なのに。可哀想に。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」
私はにっこりと笑いながら返事をした。
第一印象は大事! 笑顔、大事!
するとアースファルトさんは、ぶわっと顔を赤く染めて、コクコクと頷いた。
……この反応、なんか可愛いな。
彼の案内で向かった小屋は、簡素ながらも清潔感があり、必要最低限のものが整っていた。
「急なことでお疲れでしょう。お食事になさいますか? それとも……お休みになりますか?」
お腹はそこまで空いてなかったので、「寝ます」と伝えると、彼は慌てながらも丁寧に寝床を整えてくれた。
私は、そのまま疲れに負けて、ぐっすりと眠ってしまった。
──すると、夢の中に現れたのは、まばゆい光を放つ、美しい金髪の女神様。
あっ、これ……天啓くるやつじゃん!
またまた私は、察してしまった。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
今回はアースファルトさんとの会話が中心でしたが、どんどん世界観が明らかになってきましたね。カナコの「察し力」がやたら高いのも、書いてて楽しいポイントです(笑)
次回はついに「女神様」登場!……って、夢オチじゃないよね?(たぶん)
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ではまた、ゆるゆる更新でお会いしましょう♪