ふたたびの夢と、女神の言葉
ついにヴィルゼルが動き出した王城編。 混乱のあと、カナコがたどり着いた先は――なんと夢の中の女神ルミエール!?
少しずつ深まる謎と、優しさに包まれた王国の人々。そして、運命は再び動き出します。
その頃、王城では――。
壊された謁見の間とは別の場所で、改めて話し合いが行われていた。アースファルトさんは治療中で、この場にはいない。
「なんか……余計に事態をややこしくしてしまったみたいで……すみません」
私は申し訳なさそうに頭を下げた。
けれど王様は、首を振って優しく言ってくれた。
「いや、気にすることではない。遅かれ早かれ、こういう事態は起きていたのだろう。むしろ、城壁が意味をなしていないことがわかっただけでも価値がある」
確かに、あのヴィルゼルとかいう魔物は、簡単に空間をゆがめて現れた。どんなに強固な壁を築いても、彼のような相手には通用しない。
王様は真剣な面持ちで続けた。
「それより最優先は――聖女の保護だ。あの魔物は、きっとまた聖女を狙ってくるだろう。その時に備えて、王国で最も優れた護衛騎士団と、魔法師を常にそばにつけることとする!」
えっ、えー……。
毎日、騎士や魔法師に張りつかれて生活するの? 監視されてるみたいで、ちょっとイヤかも……なんて思ったけれど。全部、私のためにしてくれていることなんだ。
「ありがとうございます」と素直に頭を下げた。
少し落ち着いてから、私はずっと気がかりだったことを尋ねた。
「……ところで、アースファルトさんは、大丈夫でしたか?」
王様はうなずく。
「命に関わるような怪我ではないと、報告を受けている。安心してよい」
「……よかった……」
心から、ホッとした。
王様はそれ以上、私を責めることもなく、ねぎらうように言った。
「今日は疲れただろう。部屋を用意させた。今夜はゆっくり休むがよい」
促されて案内されたのは、目を疑うほど豪華な部屋だった。
見たこともないような美しい寝間着に、ふかふかのベッド。壁には繊細な刺繍のタペストリー、窓辺には透き通るレースのカーテン。
まるで、絵本の中に出てくるお姫様の部屋。
ふわりと湯気の立つ湯に身を沈め、寝間着に着替えると、私は自然とまぶたが重くなっていくのを感じた。
ベッドに体を預けた瞬間、意識はふわりと遠のいて――。
――夢の中。
そこは、白く、どこまでも透き通った光に包まれた空間だった。
そして、その中央に立つ、見覚えのある女性。
「ルミエール……さん……?」
そう。あの夜、初めて出会った神秘的な存在。女神、ルミエールが、再び私の前に姿を現したのだった。
読んでくださりありがとうございます!
いよいよ異世界転移の"使命"が動き出しそうな雰囲気になってきました。
次回は夢の中で、ルミエールから"ある啓示"が届く予定です。お楽しみに!
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