第97話 今日からあたしたちファミリーよ
オイ待て、まさかそれって。
「人の気配を持つグリム。人から変貌したグリムだったのです。
信じがたいのですが、意識が薄くなっていたのは人だった頃の意識がグリムとしての意識を止めようとしていたのだろうと思われます。
準魔法士は死亡し、グリムは囲まれるも逃亡、一時間捜索しましたが見つからず……。
ダアトさまにお訊きしたいのは獣人化に使用される魔法石の寿命についてです。既に長時間使用していたのか背のタトゥーはくすんだ色でした。
これが完全に色を失うまで放っておくのがベストと考える人も多く、総警庁も一考します。ですので残り時間が推測可能ならダアトさまに訊くのが良いだろうと。
加えてメンテナンスが必要になった場合、ダアトさまが狙われる可能性もあります」
「あの、良いでしょうか?」
窓の外から手を挙げる者が一人。オレだ。
こちらにみんなの目が向いて、オレは言葉を続ける。
「魔法士って豹に化けましたか?」
「! ええ、そうです!」
――エンリ!
「くすんでいたと言うのなら」
「先生!」
目を擦りながら現れたのはダアトさん。まだ疲れは取れていないようだ。きっと話し声で目が覚めたのだろう。
「魔法石の寿命は酷使しなければ残り一日程度ね。
ずっと獣人で居続けたなら二時間かしら。
確かにここに現れる可能性は高いわねえ」
「そうあったとしても、彼女が行く場所は解っています。『ドーン・エリア』にいると言う親御さんの元です」
「あら、心当たりがあるの糸掛くん?」
「はい」
隠しても不審がられるだろうから祭姫が現れた夜の事を話した。
エンリたちの事、オレの事、オレたちがここに来た理由。包み隠さず。
信頼には信頼を返さねば。
そしたら。
「うわっぷ」
ダアトさんに抱き締められてしまった。なぜに。
「色々あったのねえ、大丈夫、あたしは味方よ」
「は、はぁ」
続いてカノとフォゼも抱き締めようとするダアトさんだったが、かわされる。
「い、いいよそう言うのは恥ずいから」
「ですです」
「イケずねえ。こっちはキャッチ」
捕まったのは石見と心樋。二人一緒に抱き締められて困り顔だ。
「悩み事があったらなんでも言ってね。今日からあたしたちファミリーよ」
家族になってしまった。
アメリカ人ってフレンドリーだなあ。
「さて総警庁の人、エンリちゃんの御家族の居場所は特定可能かしら?」




