第94話 お金は貰うわよ
「は~それで日本から来たのね」
石見の出した精練前の魔法石の純度を一つ一つ見ながら。一つとってはサッと横に置いてまた別の魔法石に目を向ける姿は雑にも見えるがそうではないようだ。
純度に応じて置く場所をきちんと変えているから一瞬でどの程度の魔法石なのかきちんと判別している。
工房の一部屋に通されて――客間だ――そこのソファに腰かけてオレたちはここに至るまでの内容を可能な限り話した。
あ、互い自己紹介もした。
この人は貴重な錬石士。信頼を得る必要がある。
「大丈夫よ糸掛くん。大階段をちゃんと昇ってきた子たちだもの。その時点で信頼はもうあるわ」
「ん」
心を読まれてしまった。
「それに信頼を置けない子たちならあたしの護衛がとっくにバッサリとやってるわ」
え? 護衛いんの?
言われて周囲を見やるが空調の効いている客間は窓も扉もしっかりと閉ざされていて。この部屋にオレたち以外はいない。
「ここにはね。けれど一秒足らずで駆けつけられる距離にはいるの。その子たち民間人装っているから易々とは見抜けないと思うけれど」
一秒。となるとお弟子さんたちの中にもいるのかな? それとも千段ある階段を一秒で昇って来られる強者だろうか。
「さあどうかしら」
面白がるように。
「うん、精練前とは言え全部丁寧に扱っていたようね。
ぞんざいな扱いをしていたら叩き出すとこだったけれど――」
マジか。信頼って簡単に壊れるんだな。
「――良いわ、貴方たちの手に馴染む形で整えてあげる」
「ありがとうございますダアトさん」
きちんと頭を下げる石見。とそれに習うオレたち。
「お金は貰うわよ」
やっぱり?
「生活かかっているからねえ。国の補助があるとは言え錬石士ってきつきつなのよ。
弟子たちを食べさせる必要もあるし。
ま、安くはしとくわ。
五億エール」
「「「出せるか」」」




