第89話 またお会いしましょう
「いや~腹いっぱいだもう動けねえ」
「動いてもらいますよハィルベ。わたくしだけで里帰りはしませんからね」
ごはん中心の朝食を終えて、テントの上に寝っ転がるハィルベとその手を引っ張るルゥリィ。
「の前に片づけがあるぞ~。二人にも手伝ってもらうからな~」
と言うオレの言葉に。
「あ、わたくしももう動けない」
「う・ご・け」
調子良いなルゥリィ。
が、そうは問屋が卸さない。
しっかり二人を立たせて全員で食器等の片づけを終え、更に使ったテント内も片づけた。
先にあった施設運営側の説明によるとテント内は自分たちでやるので構いませんよ~と言う話だったが、利用させてもらったのだ。ある程度はこっちもしないとな。
そして三十分くらいのんびりしてチェックアウト。施設を出た。
出たところで。
「んじゃ、ぼくらは行くな」
「ご縁を信じてのサヨナラです。
またお会いしましょうね」
「うん。
ワタシもまた会いたいよ」
「おれもです。永遠の別れにはしたくないかな」
みんな気持ちは一緒だ。
出会った以上、一度さようならしてもまたどこかで会いたい、会えると信じている。
「了解です。
あ、でも石見と糸掛はいちゃついてたらスルーするかも?」
「どうせなら進展しとけよな。
結婚してても良いぜ」
「早すぎるわ」
て言うか。
「ルゥリィとハィルベって今どう言う関係なんだ? 進展度は?」
割と気になってたよ?
「以前話した通り恋仲ですわ、一応の」
「だから一応ってなんだよ……ぼくらは精霊の中じゃ結構有名な恋仲かな。
どこ行ってもからかわ――祝われる」
からかわれているんだな。
「え~? じゃあ私たちより二人こそ進展しなきゃじゃないの?」
「精霊って気長ですからねえ。
何事もゆっくりなんです」
「けど! そうだな、そろそろ婚約にシフトするかルゥリィ?」
「なんだ、結婚じゃないのかよ」
「けっ⁉ そ、それはまだテレるぜ」
はあ。そんなもんすか。
「ま、その辺りの話は帰りながらしましょうか。
こちらにはなんらかの進展がありそうですね。
お二人にも進展を期待しときます」
あると良いっすね、本当。オレたち次第だが。
「それでは、行きましょうかハィルベ」
「ああ。
じゃあなみんな!」
「お元気でお過ごしくださいね。またお会いしましょう」
「「「必ず」」」
「「絶対に」」
こうしてオレたちは飛び立って行くルゥリィとハィルベを見送った。
何事もゆっくりと言っていたから再会がいつになるのか解らないが、それまでこっちも立派にやっていないとな。
「さて、私たちのこの後は?」
「う~んどうする? フラワーフェスティバルは今日が最終日。
それを見てこの区画を出る? それとももう暫くここで過ごすかい?」
「リスト――クエスト次第じゃね。
この近辺に凶悪犯がいるようなら捕まえる為に動いて、その後出ようぜ」
「そうするか」
軽く言っているが、油断しないようにしないと。エンリたちの件もあるし。




