第81話 トマホーク爆食いだ!
ハィルベの道案内で進み、お店に到着した。
おぉ、なかなか大きなお店だ。食品と日用品、グランピング用の道具も扱っているお店。ガラス張りになっていてお店の中が丸見えだ。所々窓があって匂いはそこから外に溢れ出ているようだった。
お肉の匂いの他にフルーツの匂いも強い。これはつられる。入るっきゃない。
お店の罠にあっさりはまってオレたちは吸い込まれるように入店した。
色々な匂いがひと際強くなった。なんだか食材や用品に別の匂いが染みつきそうな気もしたが、ディスプレイ用試食用の食材等を除き売り物は一つ一つ綺麗に袋に包まれていて大丈夫そうだった。
「えっと」
まずは一番匂いが凄いお肉を買うか。
店内を進む。と、様々な場所で様々なおばちゃんに試食を薦められまくった。それだけでお腹がちょっと膨れる程に。売らなくて良いんすか?
「私、太りそうな気がする」
「マインもだ。ヤバいな後で軽く運動すっか」
「わたくしは大丈夫。飛ぶのって意外と気力体力使うので」
「ワタシは縦に大きくなりたーい」
オレも後で動き回るか。て言うか精霊たちよ、キミたちずっと乗ってるじゃん……。
そんなこんなでようやっと精肉コーナーに辿り着いた。
「バーベキュー用のお肉が多いな」
しかも種類が多い。オレびっくり。
「見てこの大きさ。厚さも日本と桁違いだよ」
手に持って重さを感じながら、石見。どれもこれも三倍はありそうだ。
「しかも安いですねぇ」
値段をしっかり確認しながらフォゼはどれくらい買えるか計算を始めて。
「どうせならグランピングリゾートに泊まらねえか? バーベキューやろうぜ!」
う……む、カノの言う通りこのお肉の大行列見てるとやりたくなってくる……今日泊まる場所の確保もしなきゃだし……。
「兄さん」
「……あぁ」
やるっきゃない。もうやるっきゃないよ。
グランピングなら必要最低限の道具は揃っているだろうし、行くか。
「――の前にトマホーク!」
「クッキーもよろしくですわ」
はいはい。
「トマホークトマホーク、これか」
でっか。赤く脂の乗ったお肉も大きいが骨もでっか。成程トマホークの名に恥じぬ見かけである。
これを一つ買って、
「オレたちはどうする?」
「もう二個買っとこ。四人で分ければちょうど良いと思うよ」
計三つ買う事になり、他にもお肉を幾つか買って、野菜も買って、フルーツも買って、クッキーも忘れず買って。このお店もドアがレジを兼ねていた。
しかし驚いた。全部でたった五千エールだよ? ちょっと有名なレストランで一人分くらいだ。
「万行くかと思ったな」
かと言って買いすぎて……ないよな? ちょっとカロリーが怖い。
「さて行こうぜ! トマホーク爆食いだ!」




