第63話 マインは期待している
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それぞれが目をつけていたところに全員で寄って、同時に地理も記憶する。
一度通っただけでは地理の把握は難しいかとも思っていたのだが予想よりもきちんと通路の整備がされていて覚えるのは簡単だった。
ただ。
「疲れた……兄さんありがと」
「ん」
一周し終えてこの中で一番体力のない心樋はもうオレにおぶられている状態で。
途中途中で空を歩いたりもしたのだが、新靴を使っても広すぎた。体力のある方に分類されるオレやフォゼ、ジャイルでさえお疲れモードだ。
ああそうそう、一周して判明したがどうやらイーラ・スカイは星をメインテーマにしつつも内包する五つの街の影響も受けているようだった。
五つの街。
水の水衣の都
学の風舞の都
花の木絆の都
交易の土惚の都
温泉の火篇の都
これらの。
今いる場所はイーラ・ウォーターに近く、これの影響を受ける区画になる。
「じゃ、じゃあホテルに行くか。一時間くらい休みたい」
「だね姉さん。
ホテル、幾つかあったけどどこにしたいですか?」
「「「一番近いとこで」」」
「そうなりますよねえ」
「どう言う組み合わせで泊まる?」
と訊くのはオレ。
ホテルに着いたのは良いとして、見上げるホテルはまるで洋のお城。いやまるでって言うか河のど真ん中に浮かぶ古城をテーマに建てられている。
外にある城内の様子を写した何枚かの写真によると部屋は普通からロイヤル級まで五種類。ロイヤル級なら全員一部屋に泊まれそうだが――
「全員は問題あり、よ」
「え~良いじゃんよ~」
「貴方が危険なの、よ。ジャイル」
確かに。エンリの身が危ない。石見たちにも被害が及ばないとも限らない。
「いや……どんだけ信用ないんだ儂……」
「男女別で良いんじゃないでしょうか? それとも気の置ける相手同士にします?」
「となると石見と糸掛が同室になるな。同室で良いんじゃないかこの二人。マインは期待している」
「なにを期待してんだよ……」
笑いながら肩を叩くな肩を。
「私は別に良いけど?」
「強がっているのが丸見えなんだが?」
頬朱いし腕組み中だし。
「じゃあ、心樋はこちらで預かります、ね。良いかしら心樋?」
「良いよエンリさん。出来た妹なので」
え? ちょっと待って。
「じゃあマインはフォゼと」
「……は? 僕、まさかジャイルと?」
「儂も不満だけどよ……まあ良いさ仲良く行こうぜタータル」
「「「けってーい」」」
「「え~?」」




