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メルヒェン・ヴェルト ~世界に童話を~  作者: 紙木 一覇
第二章

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101/106

第101話 エンリ

 戦っていた全員の攻撃がエンリへ集中する。

 エンリの用意した盾を砕き攻撃は――スルーされた。倒れ込んだエンリだったが気力で空間を抉り、空間を跳躍して上へと逃げたのだ。

 そして上空にいるまま足を振り、爪によって抉られた空間が刃となって攻撃してきた人たちを切り刻む。オレにも当然飛来したが銃弾でそれを砕いた。

 足ではなく爪の能力だったか、空間を抉るのは。

 落下するエンリ、だったが空気を蹴って直線には落ちてこない。おまけにそうしながら治癒の魔法で体を治している。


 完治する前に!


 動きを先読みして、三射撃つ。狙いは空間を跳躍する足の爪と魔法を唱える喉。

 だったが、エンリの尻尾によって叩き落される。尻尾も自在か。

 だが今の反動でエンリは極々短時間動きを止めた。狙うなら今だ。


「ん?」


 銃を向けて――と言うところで殺気が一つ上がり二つの建物がエンリを襲った。……は? 建物が?

 突如飛来した建物、まともにエンリに当たったように思えたが彼女にはバトルオーラがある。ダメージは大きくないだろう。事実、瓦礫となった建物の欠片たちと共に落ちて来たエンリはきちんと着地している。

 着地して、明後日の方向へと移動した。

 どこへ? そちら――茶葉の売店の影は建物が飛んできた方向でもないし敵となる人たちもいないのだが。

 店員さんも避難して――否。人がいた。


「エンリ!」


 彼女の名を呼ぶのは年老いた女性。腰から下にエプロンをかけていて、それを止めようとする年老いた男性も見られる。こちらもお揃いのエプロンをつけている。

 あのエプロンに入っているマークは茶葉の売店のモノ。

 そしてこんな場面でエンリの名を呼ぶ人。そんなの御両親しかいないではないか。

 ではエンリはどう言った行動をとる?

 グリムとなったエンリは足を止める。御両親の直前で。


「エンリ」


 に、手を伸ばす女性。けれどエンリのバトルオーラに触れた女性の手がわずかに傷ついて。

 すぐに手を引く女性。その表情が、恐怖に染まる。


「……あ……あああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 叫ぶエンリ。

 恐怖に反応したのもあるだろう。同時に父である男性の表情が叱咤するモノに変わったのも理由にあるだろう。

 少なくとも、父上を敵として認識したのだ。


 まずい!


 銃を構える。右腕を父上に向けて振り上げるエンリに向かって。

 そこに。


「――!」


 なんらかの攻撃が放たれてエンリと御両親の間に突き刺さる。

 衝撃波だ。エンリと御両親を引き離すように傷ついた地面の形を見ると、削り取ったような痕が。

 オレとエンリ、共に動きが止まる。が、エンリが止まったのは一瞬の事。すぐに彼女は衝撃波が飛来してきた上を向く。

 するとなにやら青白い塊が凄まじい勢いで降りて来てエンリが振り上げた右手と衝突。火花すら散らして両者弾かれた。

 エンリはよろけ、青白い塊はくるくると回転してその辺の建物の屋上に止まり、人の形に。

 人の形と言っても赤茶の皮膚と大きな尻尾を持っていたが。恐竜――ティラノサウルスだ。タトゥーがある事からそれの獣人化に違いなかった。

 だが小さい。まだ子供だ。

 纏うバトルオーラは水色系・フロスティブルー。これが青白く見せていたモノの正体か。

 子竜から感じる殺気は先程建物が二つ飛んできた時に感じたそれ。と言う事はこの子竜が建物投げたって事か。

 子竜の両腕が横に真っ直ぐ伸ばされる。バトルオーラが両手に集中し――


糸掛(いとかけ)!」

「ああ!」


 振るわれる子竜の両腕。傷つく建物、道路、エンリの体。

 が、エンリへのダメージは最小限。彼女自身のバトルオーラとオレの銃撃によって子竜が放った衝撃波が幾分か消滅・分散したからだ。

 あの子竜は本気でエンリを殺すつもりだ。それも御両親が見ている目の前で。

 振り上げられる子竜の右腕。凶悪に煌めく爪。それが振り下ろされて、


「!」


揺れる白系・アイボリーの髪から覗く眼が少し、少しだけ開かれる。青緑系・ナイルブルーの子竜の眼が。

 オレが石見(がらみ)の魔法によって強化された銃身で子竜の腕を止めたからだ。

 なんって重い一撃。手が痺れた。


「なんで止める?」

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