第100話 そうだったな!
改めて『ギフト・バレット』、一射。
放たれた銃弾は人の間を縫ってエンリに迫り、彼女の眼前で炸裂。エンリの視力を奪う一撃だったのだが、どうやら咄嗟に瞼を落とされた。開かれた眼がオレに向く。向いて腰を屈めて跳躍するように駆けてオレに迫る。
オレは後方に跳んで銃に相応しい距離を保ち、一撃放つ。銃弾はエンリを超えて彼女の頭の斜め後ろへ。その場で炸裂し、わずかに砕かれた空間が即、修復される。
「!」
構わずオレに迫ろうとしていたエンリだったが空間の修復に頭を持っていかれ、背後に倒れそうになる。
続けて二射。
エンリの機動力を奪う為のモノで、両足を狙った。
ヒット。
吹き飛びはしなかったがエンリの両脚からは出血があり、ぐらついて――
「治れ」
グリムとしての魔法を唱え、治療される。
「そうだったな!」
使えるんでした。
小さな攻撃は無意味か。エンリの魔法石の消耗を待っていたら怪我人が増えるだけだろうし、大きくいこう。
「これで!」
銃を撃ち放ち、炸裂。周囲が暗くなる。光を撃ったのだ。
豹について詳しくは知らないが突然暗闇に落とされれば戸惑うくらいはするだろう。
目論見は成功。強靭な足腰で体勢を取り戻したエンリだったが一瞬確かに動きが止まった。
その隙を逃さずオレが次弾を撃って、エンリが爪を乱暴に振るう。
すると。
「なっ!」
闇が切り払われた。
てきとうに爪を振ったように見えた。が、そうではなかったのだ。
そうか、ラオ=クェイサーはサメの力で潜る能力を発揮した。エンリの爪は捌く事が可能なのか。
「それならそれで!」
爪を振らせなければ。と思った。エンリの姿が消えるまでは。
消えた?
「前に跳んで!」
「!」
石見の叫び。オレはこれを疑わず咄嗟に前へと跳び、後頭部をなにかが掠めた。
「エンリ!」
の、爪だった。
こいつ今、空間を跳んだのか!
足の能力か? それとも足の爪の能力によって空間を捌いたのか?
いずれにしても、強力な能力だ。しかもそれが。
エンリがミモザカラーの光に包まれる。
しかもそれがバトルオーラによって強化されるとなれば。
「すぅ」
大きく息を吸うエンリ。
この動作は!
「がぁ!」
吐き出される息、いや叫び。
バトルオーラによって叫びは横殴りの突風となって人々を飛ばし、建物を破壊する。
オレにも当然浴びせられたが石見の放ってくれた魔法によって守られた。
エンリが腰を屈める。足を包むバトルオーラが地面にめり込んで――来る。
空間を跳ばずに直線で迫るエンリ。
いくらなんでも正面は愚策だろう。と思ってしまい銃を構えた途端、エンリが横に動いた。
フェイント!
ってかほぼ直角に動いたぞ今。無茶な動きを可能にするのはバトルオーラによって守られているからか。
「っつ!」
肩を蹴られた。と言うか抉られて激痛が走る。
エンリは即座に距離を取って、再び接近、オレの足を蹴って距離を取る。
当てては距離を取り、距離を取っては当てに来る。
それなら!
エンリが接近しようとするところでオレは銃口を向ける。自身の足元へと。そしてそのまま強烈な一撃を放つ。
「!」
舞い上がる破片。そこにエンリは突っ込んでしまい、全身に破片を受けてしまう。
いくらバトルオーラを纏っていようと、いや纏い速度が上がっていたからこそ衝突した破片は強力な武器となりエンリの体を傷つける。
それでもオレの横を通り抜け、エンリは地面を抉り持ち上げ、盾とした後に倒れ込んだ。
今!




