3話 試験官の実力
「時間になりましたので早速適正検査を始めさせて頂きます。座っている順番になりますが名前を呼ばれてからこちらの教壇に上がってください。また、ご存じとは思いますがステータスの確認画面は空中に大きく投影されます。別部屋にて確認を行い、第3者に対してステータスを秘匿にする事も可能ではありますが、受験者の数が数になりますのでこちらの場所でスピーディーに行わせて頂きたいと思います。ご理解お願い致します。またご自身のスキルをその場で発動させて頂きたく思っております。その点もご理解をお願い致します。それと……待ち時間中の喧嘩は試験の妨げになりますのでお止めくださいね」
試験官の女性はにっこりとほほ笑むと特定の人物を見る。
休憩時間の10分間。ここに試験官の人はいなかったがやっぱりあの女の人が言っていた様にどこかで俺達の事を監視していたらしい。
ただ、それが分かる発言をここでするって事はそこまで試験に関わってはいないのだろうけど。
「それではまず……相沢智久さん」
「はい。あの、適性検査をする前に質問だけいいですか?」
「構いませんよ」
1番前の席で座っていたのはさっきの不良男。
試験官相手だと案外しっかりした口調で驚きだ。
「俺のスキルは強力な上に範囲も広いです。こんなところで使えば、いろいろ壊してしまいますよ」
「大丈夫です。あなた方受験生程度のスキルを受け止められない程度の人間はここの試験官をしませんから。それに、あなたのスキル……いえこれ以上は止めておきましょう」
試験官は不良男、相沢の質問に即答したかと思えば、なにかを言いかけた。
多分あの程度で受け止められるスキルが強力な訳ないとかそんな内容だったのだろう。試験官の顔は相沢を嘲笑っている様に見えてしょうがない。
「これ以上質問はないですね? 始めますよ」
「……ちっ」
相沢もそんな試験官の様子に気付いたのか舌打ちで返事をした。
直ぐに手を出す上にこの態度、本当に幼稚だな。
「【ビジュアリゼーション】」
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名前:相沢智久
レベル:33
HP:530
MP:120
攻撃力:320
魔法攻撃力:180
防御力:250
魔法防御力:220
スキル:認証後表示可能
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表示されているステータスは俺の知る限り同年代ではかなり高い数値。
スキルについて本人の意思で表示させるかどうか選択出来るっていうのは今までステータスの確認をされてきたときと同じだ。
ダンジョンのシステムとしてスキルはステータスよりも重要度の高いものなんだろう。
学校のステータス確認か。年に2度、今と同じようにクラス全員の前で行われるんだけど、確認出来る場所がダンジョン内だけだから、個室とかなくて個人情報もへったくれもないんだよな。
だから俺の攻撃力1っていうのが広まって……。思い出しただけで、吐き気が。
「なかなかのものですよね? 必死こいてダースウルフェンを狩って――」
「それではあなたの中で1番の攻撃スキルを見せてください。狙いは私で構いません」
試験官は相沢の話に興味がないのか、途中で遮ってスキルを要求する。
相沢はその態度に苛立ちを覚えたのか、額に青筋を立てている。
「……分かりました。じゃあ試験官さん、俺の全力をお見せしますよ。後悔しても知りませんから。『ギガントスタンプ』!!!!」
さっきよりもでかい!
相沢の膨らんだ右腕はもはやどうやって支えられているのか疑問に思うほどのデカさ。
あんなの喰らったら試験官さんの細い体はぺしゃんこだぞ! まさか殺す気で攻撃してないよな?
「え? また、動かない。しかも……」
「はいありがとうございました。えー、相沢さんはこの後の実戦試験でCグループになります。この札を無くさないように」
「は、はい」
試験官さんは相沢の腕を小指で受け止めるとポケットから1枚の紙を取り出してそれを手渡した。
これがダンジョン学校の試験官。プロの、大人の探索者か……。
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