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幸せになれる気がする

開始の合図で玉房がまずステージに上がり、舞を演じたのだが流石というか何をさせても様になるのがこの男だ。

見てる人たちが目を話せずに玉房を見ているのが分かる。

この後私が踊るのかと思うと気が重い。

これなら先に私が踊った方がまだ良かったというのにどうして私が後なんだ。



「流石は玉房様ですね。さ、出番ですよ」



玉房の一族の人に促され、ステージに向かうもいつもより裾の長い和服に躓きそうになりながら中央に立つ。

足はガクガクだし、姿勢だって延ばさなきゃいけないのに猫背になりそうだ。

落ち着け、落ち着くんだと言い聞かせながら練習通りに舞を開始させた。



結果、練習してダメなものは結局ダメで泣きたくなったが、周りからの暖かい拍手に泣いた。




あの世界ではあんな終わりを迎え、そのままこちらの世界に来てしまい何が何だか分からないまま時を重ねてきた。

翠や蘭、その他町の人たちからは前の翠のせいで大変なことに合うし力のコントロールが上手く行かず四苦八苦していた。

学園の入学式では、久しぶりに涼音と再会を果たし喜んだのもつかの間、訳の分からない爆発が起き、翌日から授業が行えず自習からのスタート。

あの爆発が宝具を奪われたことによるものだと知ると、その宝具のことを知るために雀炎の書庫に通い始めれば、何やら嫌な予感がし各々の場所へ行けば、見えない敵に殺されかけたし髪もばっさり切られた。

入院したときはリハビリは大変だったし、玉房にはひとりで戦いに挑めと言われたような形にとにかく腹を立てた。

絶対にこいつのこと殴ってやると思って目を覚まして実際に殴ったのに、あの腑に落ちなかったのは今でも覚えている。

それから主犯を見つけ出したのは良かったのだが、大切な涼音が跡形もなく消されてしまった。

それも大した理由もなく。

それは今でも恨んでも恨みきれない。

私はきっと、一生あの男を許すことなどないだろう。

それから授業が開始され、スリーマンセルが始まると、まさかの颯太と遭遇してしまった。

あのときは驚いた。

似てるとは思っていたが本当に颯太だとは思っていなかった。

久しぶりに会った颯太は大人びていたが疲れきっていたように見えた。

彼には過去に囚われず、幸せから逃げずに向き合って欲しいと心から願っている。


それからはスリーマンセルで任務を終え、難関と呼ばれる進級試験を迎え、ほとんど玉房と龍流のお陰で進級試験を合格でき、ツーマンセルでの任務を開始することとなったのだが、私としてはツーマンセルとして何もしてなかった。

していたことといえば、小屋に閉じ込められていたくらいだ。

任務は全部玉房がやっていただけで、私は何もしてない。

こんなので本当に卒業して良いのかと言いたいくらいのに、誰もダメだと言わないので不思議でならない。


玉房とは、涼音が消えてしまってからは喧嘩をしなくなったし、仲も悪くなくなったように感じていた。

気付けば側にいて手首を捕まれていることがいつものことで違和感すら沸かなくなっていた。

閉じ込められ、それがなくなって初めてそれが日常的になっていたことに気がつき、玉房への気持ちに気付けた。

今思えば、あの神社の縁結びの神様、本当に私と玉房の縁を紡いでくれたようにも思える。

そのお陰で今、こうして契りを交わすことが出来たのはこれまでのことがあってのことと、涼音が私の背を押してくれたからのような気がする。


この世界は私の知っている世界とは色々と異なっているけれど、今私の周りにいる神さまたちと共に居れば幸せになれる気がする。


涼音、涼音の願ったように私はこの世界で幸せになってからそちらに行くから、その時はこの世界で起きた出来事を聞いて欲しい。



あぁ、でも、玉房と私の話なんて聞きたくないかな。



「何笑ってるのさ、真央」



「いや、何でもない」



それでも、聞いて欲しいと思うのはいけないことだろうか。

沢山の閲覧、ブックマーク、評価をありがとうございました。

拙い文章で申し訳ありません。

少しでも楽しんでいただけていたら幸いでございます。

今後ともよろしくお願い致します。

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