喜ばしい報告
ステージに向かった玉房は中央部分に立ち、一礼したかと思えば形の良い唇を上げた。
「皆様、お忙しい中、私たちの契りの式へお越しいただき、誠にありがとうございます。式開始前に私の友である龍流よりお知らせがございます」
そう言った時、私がいない反対側のステージ横より龍流と蘭の姿があった。
2人とも制服姿のままで、龍流はいたって変わらない表情を浮かべているのたが、蘭は私と同じように緊張で強張った表情を浮かべている。
さっき中庭にいた2人がどうしてここにいるのだろう。
「皆様、この場をお借りしてご報告させていただきたいことがあります。私の一族のことでこの度は皆様にご迷惑をおかけしたこと、一族の長に代わりまして謝罪をさせていただきます。主犯に関しましては現在、一族の管理しているとある場所で封印している状況です。今後このようなことが起きぬよう徹底していく所存であります」
改まった龍流を見たことなかったので、凄い違和感だ。
それを見ていた雀炎なんて誰だこいつみたいな顔してステージを見ている。
「本日はそれに合わせまして、ご報告したいことがございます。それは私の隣にいます、蘭と私、龍流はこの度お付き合いすることとなりました。後日契りの式を執り行いますので、お集まりいただきたく存じます」
「?!」
さっきまでそんな雰囲気なかったのに、いつからそんなことになったんだ。
もしかしてさっき2人でいたときだろうか。
だとすればさっき後ろをついていけば良かったな。
「私からのご報告は以上となります」
そう言って去っていく龍流に慌ててその後を追いかける蘭の顔は赤かったり青かったり忙しい。
あの様子から見るに急に聞かされた内容ばかりだったのだろう。
「次はお二人だね。頑張って」
バシッと先生に肩を叩かれ、一端止まったはずの手の震えが再開してしまった。




