告白
沢山の閲覧、ブックマーク、評価をありがとうございます。
夜の更新はここまでとなります。
日中にまた更新いたします。
よろしくお願いいたします。
「真央、助けに行くのが遅くなってごめんね」
未だに距離が近く、視線をどこに向ければ良いか分からないまま上に顔を向ければ悲し気な瞳と目が合った。
「いや、助けてくれてありがとう。助かった」
「何度も呼んでくれてたのにごめんね」
「え?」
何度も呼んでた?
口に出さずに呼んでいたが、まさかそれも察することができるのかこの男。
どんなエスパーだ。
「流石に全部読むことはできないけど、名前を呼んでる程度は分かるよ俺」
「流石チート」
「えぇ、全員のは無理だからチートではないよ。翠のだから分かったんだし」
まるで私のしかキャッチしないようにしているような言い方だ。
何だか特別扱いを受けていて恥ずかしい。
きっと仲間だからここまで良くしてくれるのだろう、そうに違いない。
「それより聞かないの?『玉房の好きな人って誰?』って。女子ってそういうの気にするじゃん」
「あ、えっと」
それは気になるが、聞きたくないような気もする。
だってここで失恋が確定するってことだろう。
まだ心準備が整っていないというか何というか。
「その様子は聞きたいけど聞きたくないって感じか」
「まぁ、そんな感じ。うん」
「そうかそうか、そんな感じか」
そう言いながら体がやっと離されたかと思えば両肩を掴まれ、正面から覗き込まれた。
「でもね、言いたいから言わせてね。俺の好きな人って真央だっていうことさ」
「え?」
一瞬、何を言われているのか分からず顔をじっと見ていると、段々と玉房の頬が赤くなっていった。
言った後に照れるのか玉房は。
「もう聞き返さないでよ。これでも恥ずかしいんだからさ。今回のことで嫌でも思ったんだよ。どんな美女でもどんな性格が良かろうが俺にとっての大切な人って真央なんだよ。翆でもなくてね」
「………私?」
「そ。人のために怒る所とか目が離せない所とかさ。そんな真央が好きだよ」
照れくさそうに言う玉房につられて私も恥ずかしくなる。
絶対に顔が赤くなってるに決まってる。
颯太に好きだと言われたときよりも胸はドキドキ言っているし、目の前の玉房に抱き着きたいという衝動に駆られている。
「あ、の、その」
―――この世界でこんどこそ幸せになって。
涼音。
私、良いのかな玉房と幸せになって。
本当はこの立ち位置は玉房のはずだったのに。
『真央、良いんだよ』
何故か涼音にそう言われたような気がして、前を向けば心配そうに私を見る玉房が見えた。
その情けない顔を見ていたら、少し心が落ち着いた気がした。
「何て顔してんだよ、全く」
涼音、颯太。
私、目の前で情けない顔をしているこの男のことが好きだ。
だから、この男の傍にずっといることを望みます。
それが私の幸せに繋がることだから。
「私も玉房が好きだ」




