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開かれていく扉

皆が出来ることを私は出来ていなかった。

最後にやるのが嫌で馬鹿みたいにふざけながら失敗すると馬鹿にされるが、また馬鹿やってるよと笑ってくれる人も僅かにだがいた。

何の反応もないのも嫌だし、軽蔑の眼差しを向けられることも嫌だった。


ここは叔母様以外の人とも会ったこともないし、叔母様本人とも初日以外会っていない。

なので何か痛い思いをしたり嫌な思いをさせられたりはしていない。

そのはずなのに、涙が出そうになるのは何故なのか分からない。

そんな時だった。


どこかから女性の叫び声が聞こえた。

慌てて外に出て確認したくともやはり扉は開かない。

窓もないので外も見えず、壁に耳を当ててみるも叫び声しか聞こえてこない。

その数分後にバタバタと足音がいくつか聞こえ、叫び声のした方へと向かっているのが僅かに聞こえてきた。

参拝者だろうか、それともこの神社の関係者だろうか。

それすらも音だけの情報では分からない。

どうしたら良いか分からず、あっちこっちとちょろちょろ中を歩き回るくらいしかできず、扉に視線を向けることしかできない。


どれくらい時間が経過しただろうか。

しばらくして足音がこちらに向かっているのに気が付いた。

誰だ、玉房か?

それとも叔母様?

それともそれ以外の人物?


一歩また一歩と近づいてくる足音に手が震える。

先ほどとは違った意味で小屋の中をちょろちょろしてしまう。

武器となるようなものは何もないし、だからといってこの力を使いたくもないし。

どうしたら良いものかと悩んでいると、その足音は扉の前で止まった。



「……っ」



緊張で息が詰まる。

扉から目を反らさないまま一歩一歩扉から距離を取っていく。

ギィ、ギィという音が扉から聞こえ、外にいる人物が扉を開けようとしているのが分かる。

これは止めた方が良いのか、それとも開けて貰ったタイミングで外に逃げた方が良いのか。

後者に関しては私にそんな高度なことができるとは思えないけれど。


そんなことを考えている間にも扉は徐々に開かれようとしていた。

久しく見えていなかったしっかりとした光が小屋の中を照らし始め、人影がその向こう側に見えた気がした。

光に目が慣れておらず、人影が女性なのか男性なのかも判断できない。

半分扉が開けられ、あともう少しで人が一人通れそうになったとき。

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