立派な神さま
連れて来られた場所は大きな和風な建物で、そこに玉房は部屋をあてがわれた。
私はというと境内から離れた小さな小屋である。
何というか豪邸と藁の家の差があるんだが。
まぁ、親戚とただの学生、それも望まれていない者なのだ。
仕方ないといえば仕方ないのだろう。
まだ部屋を貸してくれるだけよしと考えた方が良さそうだ。
ここで何をするのかというと、神さまのお願いを聞き答えることなのだが。
「私の願いは玉房が立派な神さまとなり、幸せを運び込んできてくれることよ」
と叔母様が言ってきたので、頭を悩ました。
それに対して私たちは何を答えれば良いのだ。
「………とりあえず今は叔母様の出方を見るしかないかな」
玉房はそう言うとあっという間に姿を消してしまったので、困り果てた。
自分ひとりでは良い答えなど浮かばないので、玉房と相談をしたかったのに。
小屋でじっとするのも境内を勝手に歩き回るのも躊躇してしまい、結局小屋の中で今後のことを考えることしかできなかった。
玉房が立派な神さまになるには、まず卒業までに必要な任務単位数の獲得が必要となる。
それには今回のような神さまからのお願いを聞くことや、困っている人間を助けることなどが挙げられる。
その難易度や解決方法の度合いで獲得できる単位数が異なるため、難しければ難しいほど単位が稼げたりするらしい。
今回のこの任務でどれだけの単位が取得でき、卒業へと近づけるのか分からないができれば多くの単位数を稼ぎたいところだ。
でも、それだと結構な難易度が高くないと貰えない。
あと叔母様が言っていたのは幸せを運びこむこと。
これは神さまとなることで幸福を招き入れるということなのだが、これに関しては玉房が幸福を感じるとそれに伴って舞い込んでくる、らしい。
これに関しては涼音が言っていた。
『玉房はね、主人公と契りを交わすと神さまとしての力が倍増するの。そうすると何が起こるかというとね、玉房が幸福を感じると周りも幸福を感じるようなことが舞い込んでくるようになるの。皆が幸せになるエンディングって素敵よね』
主人公と契り交わすことのできなくなった今、これはまだ生きた情報となるのか不明だ。
これに関しては、まず単位を取得してから考えて行こう。
「……立派な神さま、か」
立派な神さまとはどういった神さまだろうか。




