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嫌な気持ち

辿り着いた神社は全体的に大きく空気も澄み渡っているような気がした。

参拝している人たちも皆楽しそうで、中の雰囲気も良い。

そんな中、表情が暗い玉房にどうしたものかと悩んでいるとお堅そうな年配の女性が建物から出てきて、玉房の方へ歩いてきているのが見えた。

それに気が付いた玉房は更に表情を暗くし、立ち尽くしている。



「玉房、久しぶりですね」



「………そうですね」



声も硬い。

この女性が玉房の親戚なのだろうか。

人間界に住んでいるとされている神さま。

まさか、人間界に実在していたとは。

あくまでゲームでの人物ではなく実在する人物だったとは作者は実はこの世界が実在する世界の人物で、ゲームの世界と人間界の世界で実際に行き来していたことを知っていて書いたのだろうか。

恐らくそんなことはないのだろうけど。

きっと、主人公が不在となったからこういった障害が発生したに決まっている。

でないと可笑しいじゃないか。



「後ろの女性はどなたですか」



女性は今私の存在に気が付いたようで、私を見ながら玉房に問うた。

私がそれに答えようとすると、玉房に片手で制された。

これは勝手に話すなと言う意味だろうか。



「翆という学園の同級生で、今はツーマンセルを組んでいる云わばパートナーです」



「翆?」



眉がピクリと動き、冷たい視線を女性は私に向けた。

え、何だ、もしかして前の翆が何かこの女性に対してやらかしていたのだろうか。



「玉房に付きまとって迷惑をかけていた子ではないですか。いまだにつき纏っていたんですね。我儘でも言って玉房とパートナーを組むように仕組んだのではないですか?」



「は?」



何言ってんだ、この女性。

そんなことするわけないだろう。

玉房とツーマンセルを組むことになったのは学園側が決めたことで、そのことに私は何も関与していない。

先生に懇願したわけでも、学園長に依頼しにいったわけでもない。

我儘で何かしようともしていないし、力でどうにかしようとしてもいない。




「そんなことするわけ」



「はぁ……」



ない、と言おうとするのを被せたかのように大きなため息を吐かれた。



「良いですか、玉房。こんな子と組むのはやめておきなさい。これから貴方が立派な神さまとしてあの世界のために在るとするのであれば、貴方のためになりません」



何で初対面でそんなことを言われなきゃならないんだと、腹を立てれば、玉房はただその女性のことを無感情に見つめたまま、感情を乗せない言葉を吐き捨てた。



「これは学園が決めたことで、俺も彼女もパートナーについて何もしていません。この決定に異があるのであれば叔母様が直接学園へ直接言ってくれませんか?

ただし、そのことでごたごたするようであれば、俺や彼女の単位取得が押し、他者よりも神さまへの道のりが遠のくことをご理解いただいた上で行ってください。

そんなこと俺たちは全く望んでませんがね」



どこか玉房からピリピリとした空気を感じつつ、その様子を見ていると女性――叔母様は更に眉間の皺を増やし私から玉房へ視線を移した。



「ふん、そうかい。まぁ良い。どうせいつか気付くだろう。己が神さまになどなれる存在ではないということにね」



ついて来な、そう言って背を向けて歩き出す叔母様に、玉房はその背を睨みつけながら歩き出したので、私もその後を追い掛けた。

もしかして、こうなることが分かっていたから玉房は溜息を吐いていたのだろうか。

だとしたら溜息もつきたくなる。

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