正しいエンディングとは
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そんなことを考えていたこともあったな、何て思い出しながら目の前で見知らぬ女の子たちに囲まれている玉房の後ろ姿を眺めていたりする。
今回の任務は人間界にいる神さまのお願いを聞き、それを答えることなのだが、その神さまのいらっしゃる建物が分かりにくく玉房に声を掛けてきた女の子たちに聞き込みを行っている所だ。
私のことなど彼女たちは眼中にないようで、まるで私などいないかのようにすり寄っている。
中心にいる玉房なのだが、特に女の子だからとヘラヘラするわけでもなくうまいこと彼女たちから距離を取り、聞きたいことを聞いている所を見ると真面目になったのがよくわかる。
以前であれば、のらりくらりとヘラヘラしながら聞きたいことは私に任せ、自分のやりたい所だけ動き回っていたことだろう。
「ふぅん……この先を右に曲がって交差点を左に。その先しばらく歩いて右手に看板が見えたら右に曲がれば階段があって、その先に目的の神社があると」
「そこの神社はね、縁結びの神様がいるの。そこに一緒に行ったカップルは末永く幸せになれるんですって」
「縁結びの神様か…」
女の子たちはそこへ玉房と行きたいと言葉にはせずアピールをしているようだが、玉房は別のことを考えているように感じる。
「付き合っていない男女も想い人と両想いになれるだとか、良い縁が結ばれるそうよ」
「ふぅん……」
それを聞き流しているように見える玉房は、黒髪を風に靡かせながら目的地がある方角へと顔を向けている。
私もそれに合わせてそちらを見てみる。
だいたいこの辺りから歩けば、30分もかからずに辿りつきそうだ。
「ありがとう、助かったよ」
じゃあね、と手を挙げながら私の方に向かってくる間も女の子たちは必死に止めようとするも、玉房は後ろに目でもあるのではないかと思うくらいにうまく避けていた。
そのことに感心しながら見ていれば、いつもの如く手首を掴まれ歩かされる。
「行こうか。場所も分かったし」
「あ、あぁ」
手首を掴まれた瞬間、女の子たちから悲鳴のような声が聞こえた気がしたが、怖くてそちらが見れないまま玉房の後をついて行けば、頭上から大きなため息が聞こえてきた。
「はぁ……気が重いな」
「何がだ?」
「今から向かう場所って俺の親戚のいる神社なんだけど、あまり気が進まないんだよね」
親戚の神社だと?
人間界に親戚が居るのか。
ゲームの世界と人間界がリンクし過ぎではないだろうか。
まさか、主人公不在になった途端に話が大幅に変わって、ここにも障害が出てきていたりするのだろうか。
今となってはゲームの話がどんな話で契りを交わしたのかも曖昧になっているし、どんな最後を迎えるのかさえ分かる人がいなくなってしまった。
どれが正しいエンディングなの分からないし、そもそもこの世界の正しいエンディングとは何なのだろうか。
そんなものが実在するのかさえ危うい。




