気持ちの大きさ
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「えぇ?!龍流って蘭ちゃんのこと好きだったの?!」
「お前、そっちに驚くのかよ」
犬縁の突っ込みの通りで、今はそっちに驚くより龍流らしからぬ失態の方が驚きだと私も思う。
「幻覚を見たとき、見えたものに驚いた。悪いか」
「逆ギれしないでよ。悪くはないけど、何が見えていたのか気になるなぁ。俺は明さんと別れることになった異空間だったから嫌な気分にはなったね」
「オレはこの間の任務場所だった!犬縁は?」
「ワニ園。ちなみに雀炎、お前ワニに頭食われそうになってたぞ」
「えぇ?!怖…」
ここまで話を聞くと本当に皆バラバラの世界が見えていたことが分かる。
気を動転させるための幻覚だったのだろうが、龍流や玉房のように何かしらの衝撃を与えるような幻覚を私は見ていない。
これは一体どういうことなのか。
「好きな女の子くらい守れるようになりなさいよ、この色男」
「うるせぇ」
「ってあぁ、そうだった!そう簡単に龍流になんか蘭ちゃん渡さないんだからな」
ビシッと龍流へ指を指しながら雀炎が言えば、龍流は鼻で笑った。
「何にも分かっちゃいないお前に蘭が好きになるわけねぇだろ」
「何を?!確かに今回の試験のことは分からなすぎてポンコツかもしれないけど、蘭ちゃんのことを好きな気持ちはオレの方が大きいからな!」
本人が聞いたら喜びそうな展開な気がするのだが、あいにく本人不在でこの展開だ。
まさか龍流と蘭が両思いだったとは知らなかった。
もしかしてスリーマンセルを組んだときに何かあったりしたのだろうか。
「はいはい、そういった話は試験が終わったら好きなだけやってくれ。今はともかくストラップ探しするぞ」
火花の散っている所へ鵜羽は入り込み、雀炎と龍流の額にデコピンをした。
2人揃って痛っと叫び額を押さえている所を見ると、結構痛かったようだ。
「そうだね。まぁ、もう何処にあるのかは分かってるからそこへ行こうか」
玉房に促され、皆揃ってそのあとを追いかける。
その間も玉房に手首を引かれて歩いていると、何もない空間に試験官が持っていたようなキーホルダーが1つ落ちていた。
「よし、あとは試験官のいる場所に戻れば成功かな」
「そうだな」
鵜羽が頷いた途端、周りの世界の壁が次々と割れ気付いたときには暗闇の中にいた。




