ターゲット
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通常人間界へ行くには学園にあるゲートを潜る必要がある。
そこへ私たちは揃ったのだが、皆人間に見えるように髪を黒く瞳も同様にしているのだが身長も高く顔立ちも良いので女性たちからの視線を集めそうである。
玉房に限っては颯太そっくりで本人と瓜二つであり、懐かしさのあまりじっと見ていると、首を傾けられたので慌てて視線を反らした。
私も黒髪のかつらを被り、黒のカラーコンタクトを入れたが前の姿そのものが出来上がっていた。
頬の傷も短髪なこの髪も、顔立ちは少しずつ違うけれど、雰囲気などはそっくりである。
昔の私を知っている人に会わなければ良いが。
「さてと、行こうか」
玉房の一言に2人して頷きゲートを通るとそこはどこかの神社だった。
あちらは昼間だったが人間界は夜のようで辺りは真っ暗だ。
周りを見回して見ると大きな鳥居があり、その奥には階段が続いている。
鵜羽は階段の方へと向かい、その奥へと進みながら辺りを見回していた。
玉房は腕を組んだまま、目を閉じてじっとしているのだが何をしているのか分からない。
「真っ暗で何も見えないな…そっちは何かあるか?」
鵜羽に問われるも街頭もなく、ただただ真っ暗な風景が広がっており目を凝らして何も見えない。
「あるのかもしれないが、何も見えない」
もしかして見ても見えないから玉房は見ようとせず、気配を追うために目を閉じているのか、と気付きそちらを見るといまだに微動だにしていない。
もしかしてこんな時間なので外に出ている人がいないのか、と思っていると玉房が目を開いた。
「見ぃつけた」
何やら楽しげな声に鵜羽は眉間に皺を寄せている。
今までの経験上、こういうときの玉房の反応は良くないのだろう。
私も何やら嫌な予感がしながら玉房を見た。
「よし、この人をターゲットにしよう」
ターゲットと言ってる時点で良い予感がしない。
鵜羽と2人で頭を抱え、楽しげに進んで行く玉房の後を追いかけた。




