かけがえのない時間
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私が目を覚ましたのは翌朝のことだった。
起きたら自宅のベッドにおり、母親は私の目が覚めたことを喜び、昨日玉房がここに送り届けてくれたのだと教えてくれた。
久しぶりに会った玉房はかっこ良くなっていただとか何とか言っていたが、私の頭のなかには入ってこなかった。
支度を済ませ、学園に辿り着く途中に何故か龍流と出会しあの後に起こったことを教えてくれた。
玉房が蘭に建物の建て直しを依頼している間に龍流は外鬼を彼の父親に渡したそう。
その時に涼音のことも伝えたそうだ。
彼の父親は頭を抱え、一族の者が申し訳ないと言っていたそうだ。
犬縁と雀炎には玉房の分身から涼音のことが伝わり、蘭には玉房の本体から伝えられたそう。
皆、言葉に詰まり涙を流し、外鬼に対して怒りを感じていた。
雀炎はそのあと泣きながら学園長にも伝えに行き、学園長も大変悲しまれ、元に戻された宝具の祠を建て直す時に涼音のお墓も近くに作ってくれることとなった。
外鬼はというと、力を完全に奪われ、一族からの通報と共に封印をされたそうだ。
もう二度とこの世に出てこないように施したらしい。
個人的にはもっと刑を重くして欲しかったが、一族の長たちが決めたことなら仕方ないのだろう。
学園は入学式の頃のように人手が戻り、急ぎ足の座学が開始された。
元々数ヶ月かけて行うものを5週間びっちり行ったので結構なハードスケジュールだ。
そのお掛けで涼音のことを考える時間があまり取れなかったし、今後のことを考えるゆとりもなかった。
考えていてもきっとすぐに答えが出ないのだから、それはそれで良かったのかもしれない。
鵜羽と影蛇は数日休んだが、それ以降は私たちと同じスケジュールで学んでいた。
彼らには玉房から涼音のことを伝えたようで、2人とも悲しんでいたと玉房から聞いた。
皆、数ヶ月接していた涼音のことを大切な仲間だと思っていたに違いない。
私が入院していた間に彼らの間にどんな物語があったのかは分かりかねるが、彼らの反応を見るにお互いにとってかけがえのない時間だったのだろう。
それは涼音にとってもそうであったに違いない。




