限界
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鵜羽と影蛇は蘭のお陰で一命を取り留めたが、力の消耗が激しかったことから、その日は龍流の一族の者が自宅まで送り届けた。
何故か切り傷だらけの雀炎に蘭は呆れながら治療を行い、完治したときには蘭は疲れ果てていた。
「ら、蘭ちゃん大丈夫か?」
ぐったりとしている蘭は椅子に座り込み、背もたれに寄りかかり天井を見たままびくともしない。
「そんなお疲れの蘭に申し訳ないんだけど、最後に大仕事をやって貰っていいかな?」
さっきまで泣いていたのを隠すためなのか、どこから取り出したか分からない黒いサングラスをつけ、いつもの声音で玉房は言った。
「まぁだ私に何かさせる気なの?もう一歩も動けないわよ」
「分かってるって。君、蘭の肩に触れてみて」
急に言われて訳が分からず、玉房を睨むが目はサングラスで隠され、口許はマスクで隠され、片目は前髪で隠されてるせいで何も見えていないため、表情が読めない。
「……何故?」
「良いから良いから」
玉房に無理やり手を捕まれ、蘭の右肩に手を置かれた。
すると、さっきまで青白かった蘭の顔色が少し良くなったように見える。
「よし、充電完了だね。じゃあ、蘭、あの崩壊した家を直して貰えるかな?」
「何だか良く分からないけど、出来そうだからやってみるけど何した訳?」
警戒する蘭に玉房は笑い声を上げた。
「ひっどいな、もう。暴れ出てるこの子の力を蘭に流しただけじゃない。それを回復に変換したのは蘭だよ」
「………天才様の考えることは私には到底理解できないわ。まぁ、あの家直せば良いんでしょ」
「そう言うこと」
蘭は重たかった身体を持ち上げ、椅子から立ち上がった。
私はそこで手を離そうとしたが玉房に止められ、家が修復し終えるまで蘭の肩に手を置き続けた。
そうすることで短時間で建て直しが済んだようだ。
「何がどうなってこうなったのよ。こんな大きいものを修復するって普通もっと時間と体力を使うのが当たり前なのにどちらもそんなに消耗しないってどういうことよ。翠に触れられてこんなこと出来るなんて初めて知ったんだけど」
「そうだろうね。代わり君はそろそろ限界かな」
建物が建て直された後から何故だかふらふらし始めたなぁ、と思っていた所に玉房に言われ、もしかして力の消耗から来るものだったりするのかと思いながらいつの間にか意識を失っていた。




