表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/94

これ以上失わせないでよ

閲覧、ブックマーク、評価をいただきましてありがとうございます。

本日の更新はここまでとなります。

明日も更新いたしますので、よろしくお願いします。

「嫌だ」



冷たい声音で玉房にそう言われ、気付いたときには抱き上げられていた。

暴れる気力もなく、されるがままになっていたら、頬に何かが当たった。



「………頼むからさ、俺にこれ以上失わせないでよ」



何を言われているのか分からず、顔を上へと向ければ玉房の瞳から涙が流れていた。

何故玉房が泣く必要があるのだ。

まさか、玉房も涼音のことが好きだったのに泣きたいのに泣けなかったのを我慢していた所に幼馴染みの翠からのこのまま置いていけ発言に我慢していたものが流れてしまったのか?



「鵜羽は怪我するし、大切な仲間だと思っていた明…さんはこいつのせいで最悪な結末は迎えるし、君は力解放して死に急ぐし死にたがるし…もう、大切な人に傷付いて欲しくないし居なくなって欲しくないんだよ」



背中と足に触れている玉房の手に力が入り、またもや青い光が玉房の周りに集まり始めた。

光がだんだんと大きくなり、目が開けられなくなる。

慌てて目を閉じ、暫くして目を開けば元に戻ってきたことが何となく分かった。

数歩前には龍流が左右に首を振り、とある方向へ走り出した。

そこには無傷の犬縁と小さいサイズに戻ったマロ、何故か切り傷だらけの雀炎の姿があった。

どうやら大きな怪我はなく戻ってこれたらしい。


そう、ここにはいない涼音以外は。


ここは主人公不在でも話は続投され続けている。

先程までこの世界を壊そうとしていたのに玉房に止められるしもとの世界には戻された。

本当にこの後、どうしていけば良いというのだろうか。



「………ねぇ、君。あとでさ、明、さんのこと聞かせてよ。それでさ、お墓を一緒に建てよう」



この学園を見下ろせるあの山に、と玉房は言った。

今まで翠と呼んでいた玉房が私のことを君と呼ぶのも、涼音のことを明さんとすんなり呼べないのも、あのときの私と涼音の会話のせいだろう。

それを踏まえて話を聞かせて欲しいと言いたいのか。



「………そうだな」



まぁ、良いだろう。

過去を振り返りながら、次に自分が何を行っていけば良いのかを話ながら決めて行こうじゃないか。


この滅多に泣かない男の涙を袖で拭いながらさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ