ゲームオーバーへ
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心の動揺のせいかいつも抑えられている力が安定していない気がする。
視界が揺れていて玉房や龍流の表情は見えないのに外鬼の笑っている顔だけはやけにはっきりと見えた。
何が可笑しい。
可笑しいような所など何処にもないというのに。
「いやぁ、彼女人間だったんですねぇ。びっくりですよ。翠という人物の近くにいたからもしかして何か特別な力とか持ってるのかなぁ、とか思って連れ去りましたけどがっかりです。あるようなないような力ですし、この髪を持つことで得た力を試そうと思ったらすぐに失神するし。何だか馬鹿馬鹿しくなって消滅させちゃいましたよ」
「……何だと?」
私の側にいたから興味を持ったのか?
ではいなければこんなことにならなかったとでも言うのか。
それに何だ、馬鹿馬鹿しくなったから消滅させたって。
それだけの理由で涼音は、涼音は!
「許せない……」
思い返せば、宝具だってそうだ。
龍流に勝ちたいがために盗み、使えないと分かったら興味を失くす。
かと思えば私の髪に力が宿っていることが分かればそっちに興味を持つ。
まるで子供のようだ。
この土地の皆に迷惑をかけ、大した理由もなく涼音を消滅させ、悪気もない態度を取り続けるこの男が憎い。
何処かで何かが崩れていく音がしているが、気にもならない。
今はともかくこの男を始末しなければ気がおさまらない。
どうしてやろうか、この力全て解放してこの世界もろともなくしてやろうか。
それは良い考えかもしれない。
だって、この世界はゲームの世界なんだろう。
主人公がいなくなった時点で本来であれば終わるはずじゃないか。
きっと、この世界は終わりを探しているのだ。
それなら私が終わらしてやろうじゃないか。
この男もろとも、何もかもを終了させ、強制的にゲームオーバーにしてやる。




