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どうしたら

閲覧、ブックマーク、評価をいただきましてありがとうございます。

本日はあと1頁更新いたします。

よろしくお願いします。

涼音はいつも笑っていた。

辛いときも悲しいときも。

私がどんな呆れるようなことをしても呆れたり、馬鹿にするような発言をしなかった。

ただ笑って側にいてくれる、そんな存在だった。

それだけで心救われていたし、ずっと側にいて笑っていて欲しいと思っていた。

それが崩れかけたのは、颯太の存在だった。

涼音の視線は気付けばそちらを向いていた気がする。

同時にゲームにもハマり、玉房が大好きでどんなところが素敵でとマシンガントークをする涼音に呆れはしたが、楽しそうに話をする涼音の姿はいつも好ましく感じていた。

それは涼音から颯太と付き合うのを手伝って欲しいと言われたときも同じだった。

どんなに心痛む瞬間が続こうとも、涼音のことを嫌うことはなかったし、涼音の楽しげな姿を好ましく感じていた。

恨んだことなど一度もなかったし心から嫌ったことなどあるわけがなかった。



「真央」



そう呼んでくれて、側に居させてくれて、楽しそうに笑っていてくれる涼音を私は好ましく思っていたのだ。

まさか涼音が私のことをあんな風に思っていたなんて知らなかったし、知ろうともしてこなかった。

でも、知ったからといって私が涼音のことを嫌いになるはずがなかった。

好きな人と友人が思い合っていたとして、それが許せないと思えるほど、その友人を憎みたくなるほど、涼音の颯太への気持ちは本気だったというだけのことで、涼音が私のことを恨むのは仕方ないことだったのだ。


思い返せば、この世界で涼音と出会ったとき、涼音の顔は何処か怯えていたようにも見えた。

それはきっと、もう二度と会わないで済むと思っていた人物との再会の恐怖と私が涼音を恨んでいると思ったからなのだろう。


そんなことに今の今まで気付かなかったなんて、本当に私は馬鹿だ。

だからどべだと言われ続けるんだ。

どんなに転生して新たな人生を歩んでいたとしても、どべは何処に行ってもどべらしい。



なぁ、涼音。

本当に幸せだったのか?

こんな訳の分からない終わり方で本当に良かったのか?

本当は颯太とは築けなかった関係を玉房と築きたかったんじゃないのか?


スリーマンセルでのやり取りが最高だったって言ってたよな?

まだ座学だって始まっていないし、スリーマンセルなんてもっての他だろ?



なぁ、涼音。

まだまだやらなきゃいけないことあるぞ。

それに涼音は言いたいことを言って去って行ったけど私だって言いたいことがあるんだ。



私をいくら恨んだって良い。

ただ、側にさえ居させてくれれば。


無理に笑わなくたって良い。

私と居ない場所でも良いから笑っていてくれれば。



ただ、涼音が幸せでいてくれたなら。

それだけで私も幸せだったはずなのに。



なぁ、涼音。

目から流れるものが止められないし、手の震えが止まらない。


視界はボヤけてるし、鼻は詰まるし、なぁ、どうしたら。

どうしたら…。



どうしたら、もう一度、この視界に涼音の姿を写すことが出来るんだ?


どうしたらまた手を握れるんだ?


どうしたらあの笑みを見れるんだ?


どうしたら、涼音に会えるのか教えて欲しい。

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