行方不明
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この時間帯での更新はここまでとなります。
日中帯に更新できれば行いますが、おそらく夜の更新になるかと存じます。
その際にはまたよろしくお願いいたします。
建物が崩壊しているように視えた。
「あ、異空間に飛ばす力もあったね。そういえば」
わざと思い出したかのように言う玉房に皆が呆れながら見れば、見られている本人は気にせずここはどこだろうねぇ、なんて言い始めている。
「まあ、どこでも居心地悪いから出させて貰うけどね」
そう言った瞬間には皆、元に戻ってきたのだが、戻ってきた場所がちゃっかり建物の外というのがこの男らしいというか何というか。
「あれ、明がいない?!」
蘭の声にそちらを見てみると確かに涼音の姿がない。
まさか異世界に取り残されてしまったのだろうか。
「あれ、連れてきたのに何で?」
「わざとじゃないのか」
「わざとなわけないでしょ。残す意味ないし」
だよな、残す理由がないよな、と思いながら涼音を探すも見た所、壊れた建物とそのほかの建物が並んでいるだけで涼音の姿がどこにも見当たらない。
「もしかして、異空間に飛ばしたのってカモフラージュだったりするのかな」
「え、でも何のために明を狙うのよ?」
「人質とか?」
「縁起でもないこと言わないで」
蘭、この男にはもっと強く言ってくれ。
でもそう言われるとそんな気がしてくるから嫌だ。
一体何のために涼音を狙ったんだ。
玉房が言うのが本当であれば、狙うべきは私であったはずなのに。
「まぁまぁ、明さん捜しはこっちに任せて蘭は治療に専念して頂戴よ」
「ちゃんと探してよ、ふざけないで!」
「はいはい」
本当にどこに行ったのだろう。
無事であれば良いのだが。