攻略対象たちの向かう場所
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クラス表を見に行くと、見覚えのあるピンク色の髪を見つけた。
蘭に会うのはあの時以来かと思いながら徐々に近付いてみると、あの頃に比べ身長や髪の長さも伸び女の子らしくなっていた。
そんな蘭の傍で紅色の髪の青年が隣にいる青年を指さし何かを訴えている所が見える。
「へ、オレってばじっちゃんに修行を付けて貰ったから龍流にだって負けないんだからな!」
指をさされた青年――龍流は青い髪に深い蒼色の瞳をしており、その瞳を指を指している青年に向けているが感情が読めないな、と思っていると。
「っは、無理だろ」
鼻で笑って見せた。
あれ、龍流って聞いたことがある名前だ。
ゲームの中の登場人物で性格はクール、よく雀炎と口喧嘩をしている男の子だった気がする。
成績優秀で一族の中でも一番優れていると言われている人材であり、学園では2番目に優れていると言われる存在であるらしい。
因みに1番は玉房だったりする。
「何を?! そう言う龍流は一族の人に修行して貰ったのかよ!」
「当たり前だろ。 じゃなきゃここにいるわけないだろうが」
ムキィと言いながら地団駄を踏む青年はおそらく雀炎だと思われる。
確かこの雀炎は以前、蘭が負けてられないと言っていた人物だった気がする。
その蘭はというと先からずっと龍流のことを頬を染めながらじっと見つめている。
まさか、龍流のことが好きとかそういうことなのか。
「あぁ、龍流君ってやっぱり素敵ね…」
そういうことで間違えなさそうだ。
それを雀炎が横目で見ては怒りがヒートアップしているようにも見える。
何やらこの3人複雑な関係性に見えてならない。
巻き込まれるのも面倒なので、クラスを確認した後はその場を後にすることにした。
クラスは1年3組で、1階の一番奥の教室だ。
中に入ると、まだ人は疎らに見える。
ここに来るまでに攻略対象と呼ばれる人物には3人会っている。
『犬縁』『雀炎』『龍流』
まだ学園では会っていないが『玉房』もいるので、併せて4人か。
『鵜羽』とはまだ会ったことがないが、確か面倒見の良いお兄さんというキャラクターだった気がする。
玉房と一緒にいることが多かったと幼馴染は言っていた気がする。
きっと玉房にとって話がしやすいのが鵜羽しかいないのだと思うとも、そのとき合わせて言っていた。
玉房が優秀過ぎて話の通じる人物が少ないとかそういうことですか、優秀な人は優秀な人で大変な思いをされているんですね、私には全く持って理解できませんけど。
優秀な人物同士というのであれば龍流とも話が合いそうなんじゃとも思ったのだが、龍流の場合、玉房をライバル視し過ぎて話にならないらしい。
その玉房も鵜羽もどこにいるのだか分からないが、どこかで主人公と遭遇しているのだろうか。
幼馴染の話しでは、校内という話であったが校内のどこなのかの情報がない。
もし犬縁が向かった校庭側に出現するのだとしたらこの教室の窓から見えるはずだと窓際に近付いてみると、玉房らしき人物と深緑色の髪をした青年が並んで校庭の方へ歩いているのが見えた。
あの白髪とマスク姿は絶対に玉房だろう。
相変わらず片目しか見えていない。
身長はいっきに伸び、何頭身あるんだと言いたくなる程の高さになっていた。
体格も少しがっしりしているようにも見える。
だが、隣に並んでいる青年の方が背が高く体格が良いので玉房がそこまで大きく見えず体格も細く見えてしまう。
恐らくこの青年が鵜羽なのだろう。
何故校庭側のに向かうのだろうかと窓を開けて覗き込むと、玉房たちを追い掛けるように雀炎と龍流、蘭の姿も見えてきた。
何か入学式前にやらなきゃいけないことでもあるのか?
少し気になるから行ってみよう、とまだ入学式まで時間があるため校庭へ向かうことにした。