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甘い展開にはなりません

「そんな所にぼーっと突っ立ってたらあの鎌にやられるよ、翆」



やけに近い距離から玉房に似た声がするなと左側から視線を上げると、いつの間にか左側に玉房が立っており私の肩を掴んでいた。

いつになく距離が近くて離れようとすると、さっきまでいた所に雀炎が当たりそうになっていた鎌が突き刺さっているが見えた。

私もあのままあそこにいたら雀炎同様に鎌にやられていただろう。

きっと助けてくれたのは玉房の気まぐれだろうが、この玉房はどっちだか確認するためにじっと玉房を観察する。

恐らく分身は涼音の傍にいて、こちらにいるのは本体だろう。

証拠に顔に傷があった形跡がある。



「また入院するのは嫌でしょ」



「嫌だな。このままの体勢も嫌だがな。それより、助けれくれたのは嬉しいがいい加減離せ。くっつく趣味もない」



「はいはい、今は大人しくしててね。俺も嫌だけど仕方なくやってんだからさ」



玉房はそう言って、私の肩を掴んでいた右手に力を入れ左手を術者のように掲げた。



「本体はここにいないようだけど、本体へ返すわけにはいかないよね」



すると、さっきまで縫い留めていても動いていた術者の動きが完全に止まり、何やら青い炎が術者を捕らえるように並び、その中へと押し込めた。

完全に姿が青い炎の中に入り込むと、それはいつの間にか玉房が持っていた水晶の中へと入り込んだ。

その水晶の中を覗き込むと、中でもがき苦しんでいる術者の姿が見えた。



「すげぇ!」



私同様に雀炎がそれを覗き込み目を輝かせていた。

さすがチートはやることが違うな、と思っていると後ろから龍流と蘭が駆け寄ってきたのだが、私と玉房の格好を見て蘭は頬を赤らめ、龍流の顔は死んでいた。



「きゃっ、2人ともいつの間にそんなに仲が良くなったのよ?!」



言われている意味が分からず、首を傾けると傾けた方に何かがぶつかり何とぶつかったのかを確認しようとした瞬間、そういえばすぐ隣に玉房がいたことに気付いた。

きっといつもなら傍にいない者たちがこんなに至近距離にいることが珍しいのだろう。



「おい、もう良いだろ、離せ」



「はいはい」



そう言えばあっさりと離れ、手にあった水晶を龍流に見えるように見せた。



「ねぇ、誰だか分かる?」

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