幸せですか
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「実はね、翠のいない間に玉房君のイベントを生で味わってね。もう私ってば興奮しちゃった。手は繋いじゃったし、おでこも合わせちゃったの……近くで見るとやっぱり生の方がかっこいいなって感じちゃうわよね」
相変わらずのマシンガントークで思わず引いてしまうが、その内容に思わず嫌な記憶が脳裏に浮かんだ。
手を繋いだ?
この間握りたくもない手を握られたな。
少女漫画やゲームなどで出てくるようなドキドキさせるような雰囲気など皆無だったが。
おでこを合わせた?
あれは合わせたのではなく、額同士をぶつけただけで恋愛要素など何処にもない。
瞳と瞳がぶつかって恋に落ちるなどといったこともなく、はっきり言ってただの喧嘩である。
甘さの欠片もない。
「え? 翠? 何で泣いてるの?今の会話に泣くような要素あった?」
「………いや、ない」
ないけど悲しい。
きっと、私がいない間にも涼音が好きな玉房とのイベントを楽しめるような心のゆとりが少しでもあったことを喜んだ涙に違いない。
そう思うことにする。
「あぁ、睫は透き通った白い毛で肌もすべすべ、髪はふわふわしてるし本当にカッコいいし綺麗だったなぁ…」
その時の事を思い出しているのだろう。
完全に顔がにやけている。
とても主人公がして良い表情ではない。
ではないのだが、その表情を見ているとあることを聞きたい衝動にかられた。
「なぁ、涼音。 今は幸せか?」
涼音は一瞬、目を見開いたがすぐに元へと戻し笑った。
「幸せだよ。私、ここに来て良かったって思ってるもの!」
そう言った涼音の表情が脳裏に焼き付けられた。