見つからないもの
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結局書庫まで玉房と鵜羽はついて来てしまった。
雀炎は最終的にはバレて馬鹿にされるのが落ちだと犬縁に言われ、不服そうだが最終的には諦めたようだ。
「ふぅん、それって犬縁の意見でしょ。一人で雀炎が考えそうにないし。でも、この地に住んでいるなら宝具のことは知っておかないとダメでしょ」
「ほら、だから言いたくなかったんだよ!」
案の定、玉房に馬鹿にされ雀炎は怒りながら書庫へと一人先に入って行った。
私もかれこれこの世界に来て10年経つが雀炎同様に宝具なんて聞いたことがなかった。
普通だと誰かから習うものなのか。
「オレもそんなに宝具のこと詳しくは知らねぇから雀炎と似たような感じだぜ? 玉房さん」
「犬縁は落ち着いて物事を定められるけど、雀炎はそうじゃないってことが言いたかっただけだよ。それに宝具なんて滅多に聞くような話でもないし、誰かから聞かないと知ることなんてないよ。知ってる方が稀かな」
ならそう言え、と言いたい。
人をおちょくるな、と。
「玉房さんはどこで知ったんだ?」
「俺? 秘密」
「はいはい、犬縁、この男に付き合っていると作業が進まなくなるぞ」
鵜羽の言う通りだ。
この男に付き合っていたら進むものも進まなくなる。
そう思って書庫に入ると、やけくそになって本を探している雀炎がいた。
私もさっさと昨日の続きをしよう。
「ここの本、昔のことがたくさん書いてあるけど宝具のことは何も書いてないのよね。わざと書いていないみたいに書かれてないの」
涼音に言われて、一冊の本を取り出してみるも涼音の言う通り歴史のことは描かれているのに宝具のことは何も書かれていない。
まるで隠したいかのように。
「俺も手伝うよ。 皆の反対側の棚から見て行けばいいか?」
「鵜羽…… ありがとう…」
半分泣きながら言う雀炎に鵜羽は乾いた笑いを浮かべ、玉房を覗いたメンバーで本を探すことになった。
その玉房に関しては扉の前にいるマロと遊んでいたりする。
用が済んだなら帰れと言いたい。
それから昨日同様に暗くなるまで探したが、やはり見つかることはなかった。
犬縁は相変わらず途中から爆睡し始めるし、マロと遊んでいた玉房も同様にマロを腕に抱きしめながら寝ている始末。
もうこの2人は来なくても良いんじゃないのか、と言いたい。
真面目に探してるこっちがバカバカしくなるじゃないか。
そのあと、外が暗くなるまで探し結局今日も見つからなかった。
雀炎が昨日同様に犬縁を引き摺りながら書庫を出た所で解散となった。
問題はその解散後の出来事だったりする。