探し物
雀炎の家は和風な建物で出来ており、その建物の奥に聳え立つ白い大きな建物があった。
それが書庫らしい。
雀炎の両親から入室許可を貰い、中へと入るも窓がないので扉を閉めると真っ暗だ。
開けた扉の前にマロが居てくれることになり、扉を抑えながら誰も中に入ってこないか見て貰うことになった。
「うひゃあ、初めて入ったけど広いな」
「お前の家の書庫なのに初めて入ったのかよ。 それじゃあ端っこから一つ一つ調べていかにといけないってわけか。 めんどくさいな」
「仕方ないだろう、本なんて碌に読まないんだからさ」
そんなわけで4人で手当たり次第、本を探すことになった。
丁度棚は4つあったのだが、何せ横に広いため端っこまで確かめのに一苦労しそうだ。
先を見ると嫌気がさしてきそうだったので、手元の本だけ見ることにする。
どれどれ、と一冊本を取ってみるも全く関係のない書物だったため、すぐに戻す。
次はどうだと隣の本を見てみるもこれも違う。
そのやり取りを何十回か繰り返したが見当たらない。
他の皆はどうだろうかと見てみると、やはりというか何というか犬縁は本を抱えたまま壁に寄りかかり眠っているし、雀炎は本を読んでも分からないのか、喚きながら本を見ては横に山にしている。
涼音は私と同様に確認しては戻すという作業を続けていた。
ドアの外も来るときは明るかったのに、今では薄暗くなってきている。
そろそろこの中も真っ暗になってくるだろう。
今日の所は諦めて、続きは明日行った方が良さそうだ。
「そろそろ切り上げないか? 外暗くなってきてるぞ」
そう声を掛ければ、涼音は手を止め本にを元の場所へと戻した。
「そうですね。 今日はもう暗くなってきたし、切り上げましょうか。明日はランプか何かを持ってきた方が良さそうですね」
「そうだなぁ。 ぁああ、見つからねぇ。なぁ、犬縁って寝てるしよぉ…」
がっつり寝ているからか雀炎の大きな声にも反応しない。
薄暗いし部屋も快適な温度だから眠気を誘ったのだろうか、もしかして。
「仕方ない、2人は先に帰って良いぞ。 また明日続きやろうぜ」
雀炎は頭を掻いた後に、犬縁の傍にしゃがみこみ本を取り上げ片腕を自分の肩に乗せ立ち上がった。
そのまま引き摺りながら外に出ようとするので足が床に擦れているのだが、あれはあのままで良いのか気になったが、痛ければ目を覚ますだろうと結論付けた。
「はい、ではこちらで失礼します」
「じゃあ、また」
そして、涼音と2人で先に書庫を出て涼音を寮まで送り、私は自宅へと帰って行った。




