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捜索

「結局見つけられなかったみたいだね」



「そうだな」



放課後になっても担任も戻ってこなかった。

これだけ探して出てこないということは人間ではなく、神様や異なる生物のせいなのだろうか。



「あ、居た居た」



涼音と話をしていた所、後ろから雀炎と犬縁がやってきた。

犬縁に関しては引き摺られているに等しいように見える。



「なぁなぁ、今昨日の犯人と宝具を探しに行く仲間を募ってるんだけど2人とも行かね? ちなみに今はこの2人だけなんだけど」



そうは言っているが、犬縁に関しては拒否権もなく引き摺られてきただけのように見えるのだが、生きているのだろうか。

涼音はどうするのだろう。

万が一、涼音に何かあっても私が何とか出来れば良いのだが、あいにく私の力は守ることには特化していないし。



「……私、行きます。ねぇ、翠。行こう。私たちにも何か出来ることがあるかもしれないし」



涼音にまっすぐ見つめられ、以前の涼音に見つめられているような感覚に陥り、気が付いたら頷いていた。

どうにも私は涼音には弱い。

頼まれると断れないのは昔からか。



「よし、じゃあ4人で行こうぜ!」



こうして4人で向かうことになったのだが、まずどこから向かうべきか。

大抵の場所は回っているだろうし、学園関係者に見つかると面倒くさいことが起こりそうだ。

何せ学園長から登下校以外あまり外出しないようにと言われているのだから。



「マロとか匂いで追えたりしねぇの?」



頭の後ろで手を組ながら雀炎が何気なく言うと、犬縁ではなく皆の後ろをとぼとぼと歩いていたマロが、申し訳なさそうな顔を浮かべた。



「匂いがいっぱいでマロじゃ分からないの」



「そっか…そうだよな。 これだけの人手が出てちゃ色んな匂いが混じってて分からないか…」



どうしたものか、と唸っていると。



「あの、気配を察知するとかそういう力ってあったりするんですか?」



涼音が申し訳なさそうに尋ねた。

確かに匂いが駄目なら気配を追うことが出来れば、もしかしたら見つけられるかもしれない。



「あるよ! 誰が得意だっけな…」



「玉房さんだろ」



犬縁が面倒くさそうに答え、後ろでショボくれているマロを抱き上げている。



「そっか! 玉房ってチートみたいな存在だから何でも出来るな」



「手伝ってはくれないだろうけどな、100%」



「酷いよな… こういうときこそ協力して欲しいのにさぁ」



頬を膨らませながら雀炎は門の前で左右を見渡す。

右側には市街地があり、左側には昨日爆発した山へと連なる道がある。

真っ直ぐ行くと私の家のある山へと繋がっている。

どこの方角にも学校関係者や上級生たちが歩いているのが今の位置からでも見えていた。

この環境で探すのは難しいのでは。



「人が居ない方角とかに行きたいけど、そんな方角なさそうだなぁ」



「どこもかしこも匂いがするよ」



犬縁の腕の中でマロが周りの匂いを嗅いで言った。

やはりこの環境かで探すのは困難だろう。

鵜羽の言っていたように大人しくしておいた方が得策な気がする。



「それより宝具のことを調べておいた方が為になるんじゃあねぇの? めんどくさいけどよ」



「えぇ…そういうのオレ苦手……」



「そうは言うが、この環境でいくら探し歩いたって学校関係者に見つかって怒られるのが目に見えてる。それに考えても見ろ。オレたちはまだ神様とはいえまだまだ未熟な子供。それに言っちゃ悪いが明は人間だ。何かあったらどうする。オレたちの今の力じゃ自分の身を守ることで精一杯で到底守りきれるとは思えねぇ。それなら現状を知り、今後どういったことが起こり得るのかを考えた方が良いとオレは思うが?」



確かに犬縁の言う通りだ。

今出来ることをした方が今後の為になりそうだ。



「あぁ、犬縁が覚醒する前に連れていけば手伝ってくれると思ったのにさぁ」



「残念だったな、調べものなら手伝うぜ?」



どうやら反対するのは分かっていて、寝ぼけた犬縁を連れ回していたようだ。

涼音はその様子を見てクスクスと笑っていた。



「それじゃあ、宝具のことを調べに行きましょうか。 どこを調べたら出てきますかね?」



「そういうのならオレのうちの書庫が一番ありそう!」



「じゃあ、雀炎の家に行くか」



確かに雀炎の家、即ち、学園長の書庫ならそういった機密文書が仕舞われていそうだ。

こうして私たちは雀炎の家に向かうこととなった。

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