再会
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涼音だけでなく、クラスの大半が私のことを見ているような気がする。
何なのだろう、この視線は。
「次は誰だ?」
担任の言葉に、そういえば次は誰だと周りを見渡せば自分であったことに気が付き慌てて立ち上がった。
「翠です。 得意なことは特になく、苦手なことは力を使いこなすこと。 よろしく」
焦った、まさかもう自分の番だと思わなかった。
少しボーッとし過ぎたようだ。
そういえば、あっという間に涼音の自己紹介を終えていたが、学園長も凄いことをする。
入学式当日に本来の生徒ではない学生を増やし、情報を特定の人物にしか伝えず、その他の新入生と紛れさせるとは。
普通であればやらないし、できないことだと思う。
「さて、自己紹介も終わったことだし今後の説明をしていく。 明日から数ヵ月は座学がメイン、その後はスリーマンセルでの任務のようなことを行って貰う。その後、進級するための試験を受けて貰い合格したもののみ進級できるというわけだ」
このゲームの明は、ただの人間でしかない。
特別な力に目覚めもしないし、何か人間が行ったことでの言い伝えがあるわけでもない。
では何もないのかというと神様側にはある。
何かと言うと、明が側にいることで能力値が上がるのだ。
そんな人物と契りを交わせば、彼らの目指す神様へと近付くことが可能となる。
それが発覚するのは、スリーマンセルでの出来事立ったりするらしい。
そこの詳細については、涼音がヒートアップしすぎて話についていけず、あまり覚えていなかったりする。
「さて、それじゃあ明日から頑張るように」
そうこうしているうちに担任の話は終わり、皆バラバラに教室を後にし始めた。
本当は涼音に話に行きたいが、いきなり話しかけて大丈夫だろうか。
そう思いながら視線を涼音に向けていると、その視線を邪魔するように目の前に女子のブレザーが目の前に現れた。
誰だろうかと恐る恐る顔を上げれば、腰に手を当て私を見下ろしている蘭がいた。
「久しぶりね、翠」
「あ、あぁ…そうだな」
無表情で見下ろしてくる蘭に一体何を言われるだと警戒していると、目の前で溜め息を吐かれた。
「はぁ、何かないわけ? 一応、久しぶりの再会なのに」
何かと言われても蘭は女っぽくなったな、くらいにしか思えない。
その他何を思えと言うのだろう。
「久しぶりに玉房を見ても反応薄くなったし、まるで別人ね」
思わずドキッとしてしまったが、顔には出さずに立ち上がり鞄を手に持った。
「それだけが用なら帰るが良いか?」
「………良いけど」
何か言いたげにしていたが結局何も言われなかったので、そのまま教室を出ると今度は目の前に涼音がいた。




