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転生先は乙女ゲームです

大好きだった人を守り、死んだと思って目を覚ましたら見知らぬ女性と手を繋いで歩いていた。

誰だこの女性、それにここはどこだ。

右を見ても左を見ても、今まで一度も見たことない風景だ。

見渡しているときから視界に入っていた長い赤いものを引っ張れば自分の髪なのだと気付いた。

いつから赤髪になった?

死ぬまで黒かったよな。

隣を歩いている女性を見上げれば同じように赤い髪をしており、バレッタで束ねているのが見える。

服装も死ぬ前まで着ていた服ではなく、どこかゲームとかで出てきそうな村人Aのような格好だ。

鏡に映った自分の姿を見てみると、赤い髪に蒼い瞳。

まだ幼い顔をした子供がそこにはいた。

誰だこいつ。


すい、行くわよ」


そう言われ手を引かれて歩く。

どうやらこの子供、翆という名前らしい。

歩きながら死ぬ前までずっとあった顔の傷を探すも、それらしきものもないということは、全く違う人物に私は成り代わったらしい。


「今日はぎょく君とらんちゃんが遊びに来るのよね。 楽しみね、翠」


誰だその玉君と蘭ちゃんって。

その人物たちと会うのか、これから。


「あら、玉君が来るのに喜ばないのね。 珍しい」


え、普段喜ぶような人物なのか、玉君って。

全然分からないぞ。



幼馴染みが大好きだと言っていたゲームがあった。

確か『契りを交わし道を示せ』とかなんとかいう乙女ゲーム。

そのゲームは人間の姿をした神様の誰かと契りを交わすまでの物語が描かれているらしい。

確か『玉房ぎょくほう』という人物が幼馴染の好きな人にそっくりで大好きという話を耳がタコになるほど聞いていた。

その他にも『犬縁けんえん』、『鵜羽うば』『雀炎じゃえん』『龍流りゅうるい』というキャラクターが攻略対象としているとかいないとか。

主人公はあかりという人間で異世界から突然現れて神様たちに惹かれていく話らしい。

何故いきなりそんなことを語り始めているのかというと、その幼馴染みが話していた【清進学園】という看板を見かけたからだ。

確か舞台になる学校の名前だったはず。

私は乙女ゲームはやったことがなく、幼馴染の話していたことしか知らないが何度も聞いてどんな内容でどんなものがあるのかを嫌でも覚えてしまったので、それらしき何かがあるとその記憶が引き出される。

もしかして、と思い周りのものを再度見渡せば見せて貰ったことのあるものを見つけた。

確か明が玉房と歩いていたときに見えた派手な看板。

あんな変わった看板があるのかと画面を見せて貰ったときに思った気がする。


どうやらここはそのゲームの中で間違いなさそうである。

それにしても、明って日本人の設定だから黒髪だったような。

つまり、私は物語の主人公ではない。

そもそも突然現れたわけでもなく、この女性と歩いていただけなので開始が異なる。

なら物語のどこに位置する人物だ?

さっきそういえば翆と呼ばれていたな。

翆って誰だ。

流石に全部を分かっているわけじゃないから、分からないな。

まぁ、主人公が誰かと契りを交わせばゲームは終わるはずだ。

それまで平和に過ごせればそれで良いか。

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