オールド・フレンド
新井卓は元の世界では2年前無差別殺人事件に巻き込まれ亡くなった。努力家で人柄もよかった彼と天野虹は親しくしていた。天野虹は優秀な彼なら凡人である自分ではできない何かを成し遂げるだろうと思っていた。しかし、彼は突然亡き人となり、殺害した犯人も自殺してしまい天野虹は心に穴が開いたような感覚を覚えた。
それだけならばただの事件で終わったのだがそれだけで終わらなかった。彼の両親が行方不明になり、親戚らも姿を消したことから、天野虹は彼はこの世から存在ごと消え去ろうとしていることを感じた。調べても手掛かりは見つからなかったがこの世界にきてようやくすべてを察した。
新井卓は自分が万能である世界に魅了され元の世界を捨てたのだ。
「おい。黒妖精。あいつは何でおれを狙っているか知ってるんだろ。」
天野虹は近くにいる黒妖精に話しかける。
「私はこの世界で自由を得られる代わりに奴を知っているものをこの世界に招き入れているの。」
黒妖精は正直に話す。
「ただ、奴を倒したい気持ちは同じ、あなたに覚悟があれば倒せるはず。」
ここで天野虹は自分が倒されればまた、奴を知っているものが次々に犠牲になってしまうとこを理解した。天野虹は自分より恵まれていながら元の世界を捨てた奴がとにかく憎かった。
天野虹は自身のリミッターを解除した。