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セカイノカケラ  作者: しき
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ワールド・エンド

 天野虹(あまのにじ)は現実に戻る直前に隔離魔法(インディペンデンス)で現実世界をあの世界から完全に切り離した。それを最後に精霊の加護を失い、魔法を使えない凡人に戻った。

 天野虹(あまのにじ)は現実から逃げる選択をしたことを後悔はしていない。あの世界に足を踏み入れて気づいたことがある。現実を過剰に恐れていたということである。天野虹(あまのにじ)はあの世界で圧倒的理不尽を経験したことで現実での自分の人生が馬鹿らしく思えてきた。ただ、失敗することを恐れて無難な選択をし、それを無力のせいにする。すべては覚悟がないからに過ぎなかった。

 あの世界でも自分が無力であることは同じであった。しかし、現実では持ちえなかった何かを変えようとする意志があった。その意志があの世界の根幹をなす大いなる精霊(グレート・フェアリー)を味方にし、現実を願いのためにはいかなる犠牲もいとわない黒妖精ダークネス・フェアリーから守る結果をもたらした。

 天野虹(あまのにじ)は現実で意識を取り戻すと気温や周囲の状況から朝方であることに気づいた。駅前であるが人は少ない。格好も現実を離れる直前の格好である。

 体が重い。理由は分かっている。精霊の力を行使するとき、術師は多かれ少なかれ犠牲を払う。大いなる精霊(グレート・フェアリー)は良心的ではあったがそれでも代償を支払っていることは変わりはない。

 天野虹(あまのにじ)は力を振り絞り改札をくぐる。適当に行先も確認せず出発間際の列車に乗り込む。

 幸いほかの客も少なく窓際に座ることができた。列車はおもむろに動き出す。天野虹(あまのにじ)は重くなる(まぶた)が閉じないように必死で耐える。

 この選択をもう少し早めに出来れば違った未来が待っていたに違いない。今より良いことがあるか悪いことがあるかわからない。しかし、今までより違った景色を見ることができるに違いない。

 天野虹(あまのにじ)は列車の窓から見えるものがビル群から開けた景色となることを期待していた。






ー〈END〉ー

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