ワールド・クラッシャー
「おい、黒妖精おれを元の世界に戻してくれ。」
天野虹は要求する。
「せっかく生かしといてあげたのに。あなたは元の世界に戻っても後悔するだけだと思うけど。」
黒妖精は残念そうにつぶやく。黒妖精はその気になれば天野虹をいつでも始末できた。天野虹が今まで寿命が残りわずかになりながら生きてこれたのは黒妖精の気まぐれである。
数多の影人が天野虹に襲い掛かる。影人は変幻自在に姿を変え、天野虹の防御魔法をすり抜け、拘束する。
天野虹は火炎魔法で自身ごと影人を燃やし、退ける。
「目障りね。さっさと力尽きればいいのに。」
黒妖精は害虫を見るような目でこちらを眺めている。この世界で唯一無二の存在と残り寿命がわずかな者。力の差は歴然である。
しかし、黒妖精に一瞬でも脅威を与えることができれば思わず転移魔法を使用させ、奇跡的に元の世界に戻ることができるかもしれない。
天野虹は一縷の望みを賭け、自爆魔法を使用し、特攻する演技をした。発動すればこの世界の半分を道ずれにすることができる。もちろん最後まで発動させれば生き残るのは黒妖精のみであるが止めてくるのではないかと予感はした。
黒妖精は思わず転移魔法を使用し、天野虹をこの世界から転移させた。
天野虹は直前で自爆魔法を解除し、最後の魔法を使用する。